世俗と宗教の緊張は「イスラエルの生来の問題」

エルサレムのような宗教都市では、ユダヤ教の戒律を厳しく守る「超正統派(ハレディーム)」の人口が増加し、安息日に車を運転できる道路が狭められるなど生活空間に宗教の影響が及んでいるが、テルアビブなど大多数が世俗派の都市では、安息日にも多くのレストランや店舗が営業している。宗教派は社会へのさらなる戒律の適用を訴え、世俗派との間に距離感と緊張感がある。

世俗と宗教の緊張はイスラエルの生来の問題と言える。イスラエル建国につながったシオニズム(ユダヤ人国家建設運動)は、19世紀末のヨーロッパで生まれた世俗的な政治運動だった。欧州における迫害を背景に、ユダヤ人が安全に暮らせる国家の建設を目指して歴史的・宗教的に結び付けられてきたパレスチナへの移住が進んだ。イギリスのパレスチナ委任統治放棄を機にイスラエルが建国されたが、当時から既に宗教派と世俗派の間に溝があった。

建国宣言を出した48年5月14日は金曜日で、日没以降は安息日に入る。安息日には「労働」が禁じられている。安息日に入る前に宣言を出せるかどうか、世俗派と宗教派の間で激しい議論となった。また宗教派の代表者たちは、建国宣言に「イスラエルの神」への言及を明確に盛り込むべきだと主張したが、多くの世俗派シオニストは、新たに誕生する国家は近代的な主権国家として成立すべきだとして、神学的表現を含むことに強く反対した。結果的に、明示を避けつつ宗教的感情にも配慮する折衷案を採用して建国宣言が出され、イスラエル国家が成立した。

イスラエルで台頭する宗教右翼
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