イランにとっての最大の脅威はイスラエルでない?
イスラエルとアラブ諸国はパレスチナ国家の樹立によって雪解けする可能性が高いが、イランは現体制が続く限り、イスラエルを認める可能性は低く、敵対解消の見込みはない。
イランはイスラエル周辺の勢力を支援することで、イスラエルに圧力をかけてきた。レバノンの武装組織ヒズボラは、イランと同じイスラム教シーア派を基盤とし、レバノン国内では国会で議席を持つ正統な政党でもある。イスラエル軍に弱体化させられる2023年以前は、レバノン軍をもしのぐ10万人の兵力を抱えていたとされる。
また、パレスチナ自治区ガザでは、スンニ派ではあるが、「イスラエルへの抵抗」という共通目標があるイスラム組織ハマスやイスラム聖戦などを支援していて、こうしたイスラエル周辺の傀儡勢力は「抵抗の枢軸」とも呼ばれた。
イスラエルとイランの直接的な衝突を望んでいなかったのが、湾岸アラブ諸国だろう。メッカとメディナを抱えるサウジアラビアはスンニ派イスラムの盟主を自任しており、イランとは外交関係を維持しつつも、歴史的には緊張関係にある。特にイランからすれば、1980〜88年のイラン・イラク戦争において、サウジアラビアを含む湾岸諸国がイラクを資金面で支援したことが不信の根源となっている。イスラエルのある歴史家は、イランにとって最大の脅威はイスラエルではなく、サウジアラビアであるとも指摘する。
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