警戒を強める世界と日本の「ギャップ」
2019会計年度国防権限法(NDAA)に基づき、国防総省は、免除がない限り、CIを受け入れている大学での中国語プログラムへの資金提供を禁止された。外国公館への指定や連邦資金の制限といった措置により、米国内の拠点は2018年の約100校から、現在は5校未満へと激減した。
ヨーロッパに目を向けると、スウェーデンは国内のすべての孔子学院を閉鎖した。ベルギー、ドイツ、フランス、オランダ、デンマーク、カナダ、オーストラリアも相当数を閉鎖している。英国はCIを維持しているが、イギリスのスナク元首相が閉鎖を掲げて選挙戦を戦った後に一転させた経緯もあり、透明性の問題が出ている。
日本ではどうか。日本でもピーク時の15校のうち5校が閉鎖されている。残る10校は、全国的な規制もなく、拘束力のある意味での情報公開義務もなく、他国で閉鎖に至ったような活動を規制する法律もなく、また運営構造を白日の下にさらすような外国代理人登録制度といった決まりもないまま運営されている。
これが、本稿が指摘する世界と日本の「ギャップ」である。
日本で運営されているCIの閉鎖のパターンは示唆に富んでいる。一つの例外を除き、国家安全保障や外国の影響力への懸念として公式に枠付けられた閉鎖はない。公式には「協定期間の満了」「発展的解消」、あるいは「プログラムの合理化」と説明している大学があるほか、別の大学の声明では、2023年の「アジアセンター」設立により機能が重複したことが挙げられている。
これは米国の閉鎖の波でも見られたお馴染みのパターンである。大学側は、CIの閉鎖を政治的あるいは対情報活動上の懸念に対する反応としてではなく、行政上の整理整頓として性格づけることを好む。その結果、公的な記録からは、実際の閉鎖理由が体系的に削ぎ落とされている。