オルバン(右)はロシアのプーチンに忠実だった(昨年11月、モスクワで)
オルバン(右)はロシアのプーチンに忠実だった(昨年11月、モスクワで) ALEXANDER NEMENOVーPOOLーREUTERS

しかしオルバン政権を支えてきた右派や民族主義者の解釈は異なる。彼らから見れば、オルバンがプーチンに擦り寄ったのは親近感ゆえではなく、むしろ地理的にも政治的にも困難な環境を生き延びるための究極の選択だった。

オルバン自身、「ハンガリーにとっての真の脅威はロシアではなくEUだ」と述べ、EUはハンガリーをより深刻な対立とエネルギー価格の高騰による困窮へ追い込もうとしていると非難していた。

ロシア産のエネルギーを買わなければ自国の経済が崩壊すると主張し、内陸国のハンガリーにとってはロシアだけが頼りだとも訴えてきた。

切っても切れない関係

オルバン打倒を果たしたマジャルにも、ロシアとのデカップリング(分離)を急ぐ気配はない。国外の熱烈な支持者は失望するかもしれないが、マジャルは勝利宣言後の記者会見で、ハンガリーは今後もロシアから安価なエネルギーを調達し続けたいと述べた。「どう頑張っても地理は動かせない」

プーチンから電話が来たら「もちろん受話器を取る」とも言った。ただし、その際にはウクライナでの戦争をやめるよう進言するとした。

こうなると誰もが、今回の政権交代を自分に都合よく解釈したくなる。リベラル派は、オルバンという障害を取り除いて親EUの政権が誕生した以上、ロシアの影響力を排除するのは簡単だと考えたがる。しかし右派の民族主義者は逆で、ロシアへの依存は冷酷な現実であり、リベラル派は動かし難い地理に目を塞いでいると主張する。

どちらも自分勝手な理屈で、およそ事態の全体像を捉えていない。

脱ロシア依存はそう簡単に変えられない
【関連記事】