天然ガスはどうか。ハンガリーは21年に、ロシアの国営企業ガスプロムと15年契約を結んだ。ロシアとトルコを結ぶパイプラインを利用し、ウクライナを通らず南欧経由でガスを運ぶ契約だ。

欧州委員会の国別資料によれば、ハンガリーのロシア産天然ガスへの依存度は22年段階で82.4%。25年になっても国産の天然ガスは17.5%程度で、残りの大半はロシアからの輸入だった。

電力も輸入が頼り

電力供給システムの問題もある。欧州委員会の資料によると、22年のハンガリーの電力純輸入は1万2152GWh(ギガワット時)で、総需要の約28%に上っていた。24年段階でも、ハンガリーの電力純輸入量はEU加盟国中で最大級だった。

政府系のニュースサイト「ディプロマシー&トレード」が伝えたハンガリーの送電企業MAVIRの資料によると、国内の生産体制が向上した25年にも総電力需要の20.2%は輸入に依存していた。

イデオロギー的な議論はこの現実に目を背けている。たとえ新政権が親EUを宣言しても、それで構造的に輸入依存の電力市場をすぐに変えられるわけではない。

太陽光発電の拡大と原子力発電でハンガリーのエネルギーミックスが改善されたのは事実だが、今でも地域的な需要の変動や国境を越えた需給調整などに振り回されている。国産電力だけで安定した電力供給を維持できない以上、いやでも他国の顔色をうかがわざるを得ないわけだ。

往々にして、ロシアとの関係は主権の問題として語られやすい。だがエネルギー事情を見る限り、まだハンガリーは自立した国家と呼べる状態に程遠い。

欧州委員会の調べでは、ハンガリーは22年に総消費エネルギーの64.2%を輸入に依存していた。23年でも62.5%。つまりハンガリー政府は、ロシアだけでなく他の周辺諸国からもたくさんのエネルギーを買っている。だから主権の行使にも何かと制約を受けざるを得ない。

ハンガリーの悲しい現実
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