<被災後の強制移住や治安悪化、貧困による人身売買――過酷な環境よりも厄介なのは自然災害がもたらすこうした「人災」だ>

熱帯地域に位置するフィリピンは自然災害が多いことでも知られる。特に台風は年にいくつもが直撃し、普段は水不足に悩む農村を水没させ、家や畑を流し去る。その後には、また容赦なく日照りが繰り返される。

観測史上最大級の猛威を振るったのが13年の超大型台風ハイエン。6000人以上の人命が奪われ、600万人が家を失った。とりわけ被害が大きいのは沿海部や島しょ部の住民だ。

フィリピン人フォトグラファー、ビージェイ・ビラフランカはこうした現実を直視しようと被災地を撮影した。苛烈な環境よりも厄介なのは、自然災害がもたらす「人災」だ。被災後の強制移住や治安の悪化、貧困がもたらす人身売買といった現実も写真に収められている。

写真集名の『シグノス』とはフィリピンの伝承の「凶兆」のこと。嵐が来る前、漁師や祈禱治療師が村に警告を与えるときに用いる言葉だという。伝統的な報道写真を超えてこうした象徴的な概念を作品に取り入れることで、気候変動が農村にもたらすさまざまな側面を写し取りたい――時に多重露光などの手法を用いた繊細な表現から写真家の決意が伝わってくる。

Photographs from the book "Signos" (MAPA books) by Veejay Villafranca

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津波に襲われたフィリピン中部・東サマルの町ヘルナニ
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土砂崩れの跡からごみをあさる人(タクロバン)
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被災家屋に残された家族写真(タクロバン)
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身元不明の遺体2000体以上が葬られた墓地(タクロバン)