SSBJ基準に対し、企業はどう応えるべきなのか。
高崎経済大学(群馬県)の学長であり、金融庁サステナブルファイナンス有識者会議の座長を務める水口剛は、会計の歴史からサステナビリティ情報開示をひもとく。
「かつて企業会計は単体決算が主流で、グループ全体の数字を統合する連結決算は経済団体が導入に強く反対していた。それが今では当たり前の実務になり、国際比較が可能となった。サステナビリティ情報の開示もまさに同じ道をたどっている」
多くの企業において、サステナビリティ情報の管理・集計は主流の業務ではなかった。現場にデータの提出を依頼しても協力的ではない。そんな声も珍しくなかった。
しかしこれからは、有価証券報告書に掲載される公式な情報となる。環境負荷が将来の事業にどう影響するのか、具体的に説明するには企業戦略との結び付きが不可欠だ。経営層が関与しなければ、立ちゆかない。
水口が提唱するのは「サステナビリティ参謀」という概念だ。優秀な会計担当者が決算報告の集計役にとどまらず、経営の羅針盤となるように、サステナビリティ部門にも社会・環境との関わりを可視化し、提言できる人材が必要だと言う。
「CO2排出量がこうでした。ここで人権侵害がありました。こういった悪い情報を開示するだけでは意味がない。何をどう変えたらいいかを考える。それが経営の仕事である」
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