<AIの台頭、人手不足・人材不足などの要因で職業別収入は4年間で大きく変化し、職業内格差も拡大している>

世の中には多くの職業があり、時代とともにその数は増えている。社会が高度化・複雑化するにつれ、分業の度合いが高まるためだ。現在では、おおよそ1万7000の職業があると言われている(厚労省職業分類)。

各人は自身の適性や能力に応じて何かしらの職に就き、職務を遂行することで給与を得る。その額は、専門性や当該の職に就くまでに要した訓練期間(費用)等に依拠して傾斜がつけられている。時代による変化もあり、需要のある職業の収入は増える。

厚労省の「賃金構造基本統計調査」に、細かい職業別の月収中央値が出ている。従事者が最も多い総合事務員の月収中央値は、2020年では26.5万円だったが2024年では28.8万円。4年間で10%弱、増加した。対して、タクシー運転手は18.7万円から26.2万円と40%も増えている。

144の職業について、2020~2024年にかけての増加率を計算し、高い順に並べたランキング表を作成した。<表1>は、上位10位と目ぼしい職業を取り出したものだ。

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最も増加率が大きいのは獣医師で、この4年間で1.7倍にも増えている。その次は歯科医師で約1.5倍。先ほど見たタクシー運転手は4位で、自動車整備や大工も上位10位以内にランクインしている。

注目してほしいのは赤い数字で、2024年では自動車整備、大工、大型運転手といった職業の月収が総合事務員を上回っている。4年前とはうって変わった逆転現象だ。AIに代替されにくいブルーカラー現業職の収入が増える、という「ブルーカラービリオネア」現象を想起させる。社会の土台を作り直す仕事、人々の暮らしを直にサポートする仕事への需要が増している日本において、この傾向は今後も続くと思われる。

人手不足や働き方改革の影響もあり、ここ数年で収入が増えている職業が大半だが、逆に減っている職業もある。表の下の方にある職業がそうで、高校教員、理容・美容師、アーティスト、医師、公認会計士などが挙がっている。新規参入者の増加による競争過多のためか、公認会計士・税理士の月収は、たった4年間で3分の2にまで目減りしている。

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同じ職業でも内部格差が拡大