<ワールドカップで惨敗したドイツ代表の中で、非難を浴び続けたのが、トルコ系のメスト・エジル選手。人種差別の問題が複雑に絡みドイツで論争がわき上がっている>

フランスが2018年FIFAワールドカップでの快進撃に沸く一方で、まさかの一次リーグ敗退を喫した前大会優勝のドイツは、その「犯人探し」に躍起になっていた。敗北はチームやサッカー協会全体の責任であるはずなのに、スケープゴートとして非難を浴び続けたのが、トルコ系のメスト・エジル選手だった。

エジル選手はドイツ生まれで、ドイツ国籍だ。にもかかわらず、非難が集中した理由がそのプレイではなく、人種的バックグラウンドだった。そして、不当な人種差別を理由に、エジル選手は22日、「(かつては誇りに思った)ドイツのユニフォームをもう着たくない」と、ナショナルチーム引退を表明。これを機に、ドイツで新たな人種差別論争が巻き起こっている。

スケープゴートはもうたくさん

エジル選手は22日、自身のツイッターに三部構成の声明文を発表。「差別と礼儀を欠く扱い」を理由に、ナショナルチームからの引退を表明した。2014年大会でのドイツ優勝への貢献、そしてそれ以前の功績をも忘れてしまったかのようなファンやドイツメディアに対しては「必要とされていない」と感じ、ドイツサッカー連盟(DSB)のラインハルト・グリンデル会長においては名指しで「もうこれ以上(グリンデルの)職務遂行能力の欠損と不能のスケープゴートにはならない」と非難した。

エジルの決断は瞬く間に、ドイツ内外に複雑な反応を呼び起こした。元サッカー選手で現FCバイエルン会長のウリ・ヘーネスはエジルの声明を受け、「せいせいする。あいつは何年も悲惨なプレイしかしてこなかった」と辛辣な言葉を浴びせたが、これには業界からもヘーネスに対する批判が起こった

一方で、多くのチームメイトや著名人、一般市民がエジルを擁護している。ハッシュタグ#IStandWithOzil(私はエジルの味方)はツイッターであっという間に世界的トレンドとなった。

エジルの故郷、ゲルゼンキルヒェンの住民もエジルをサポートしている。その他、政府を含め有力各紙も、ヘーネスやドイツサッカー連盟のグリンデルに対して批判的な論調だ。

エルドアン大統領との写真