Brad Heath Tim Reid

[ワシントン 4日 ロイター] - 米大富豪イーロン・マスク氏の下で米連邦政府の支出・職員の削減に取り組む「政府効率化省(DOGE)」の唯一の公式窓口は、暗い背景に数字の羅列と棒グラフが並ぶ質素なウェブサイトだ。このサイトは重大な間違いが多く、削減の中身が見通せない。

トランプ米大統領とマスク氏のDOGEは、契約解除や職員解雇、政府内の不正や無駄の根絶を矢継ぎ早に実施した結果、わずか6週間で米国の納税者に何百億ドルもの節約をもたらしたと主張している。

主張の裏付けとなっているのは、先月開設したDOGEのウェブサイトに掲載されたデータだけだ。しかしDOGEはこの2週間だけでも、最大の節約だと豪語していた項目を含めて数百の削減額を削除している。

DOGEはこれまでに1050億ドルの削減を達成したと主張している。しかしロイターのデータ分析によると、削減の詳細な内訳が公表されているのはほんの一部だけで、しかも常に内容が変更されているため、この計算を検証することは不可能だ。

マスク氏は、コスト削減の透明性を確保していると主張する。だがイエール大学の中立的な予算分析機関である予算研究所のマーサ・ギンベル所長をはじめ、専門家らは異を唱える。

ギンベル氏はインタビューで「ウェブサイトに数字や言葉を載せるだけならだれでもできる」と指摘。「透明性を確保するには、数字や言葉が正確でなければならない。すでに正確ではないことが示されたのに、信用できるはずもない」と語った。

DOGEの報道官は、コメントの要請にすぐには応じなかった。マスク氏はこれまでに、間違いは起こるだろうし、発見された場合には修正するとしている。

<レシートの壁>

DOGEは、打ち切ったとする契約について最も詳細な情報を提供しており、それを「レシートの壁」と称するページに列挙して公開している。

しかし、その会計処理には当初から誤りが見られた。ロイターの分析によると、すでに終了している契約(時には数年前に終了しているもの)を打ち切ったと主張したり、破棄した別の契約について金額を水増ししたりしていた。

DOGEが2月中旬、初めてウェブサイトに打ち切った契約の一覧を掲載した際には、合計額が約160億ドルに上っていたが、今月3日には89億ドル未満に減っている。

また、打ち切りにより80億ドルの税金節減につながったとDOGEが主張した契約は、実際には800万ドルの価値しかなかった。また別の例では、6億5500万ドルの契約を3倍に水増しし、実在しない18億ドル以上の支出節減を主張していた。

DOGEは先週、最大の節減だと主張していた5項目全てを削除した。

20年以上にわたって上院予算委員会のスタッフやディレクターを務めた共和党員のビル・ホーグランド氏は「連邦政府における無駄遣い、不正、乱用を廃止することには大賛成だが、彼らの主張には真実味がない。数値化がまったくできないからだ」と切り捨てた。

DOGEは政府機関ではなく、連邦政府の官僚機構を劇的に縮小するため、トランプ氏から絶大な権限を与えられた臨時の諮問チームだ。

DOGEが設立後の6週間で、官僚機構の一部を大幅に削減してきたのは事実だ。 約20の政府機関に介入し、その一部を空洞化させ、連邦公務員約230万人のうち少なくとも2万5000人を解雇し、7万5000人に希望退職制度の利用を促した。 また数千件の契約を打ち切った。

しかし実際には、トランプ大統領就任から1カ月間の政府支出は、バイデン前大統領が在任していた前年同期より多い。

ロイターが記録を調査したところ、DOGEは今週行った最新のウェブサイト更新で、千件以上の項目を修正または削除していた。そのうちの半分近くは前週にリストに掲載されたばかりの項目だ。

中には納税者にもたらされた節減額の推計値を変更したケースもあれば、リストに載せていた契約を完全に削除したケースもある。3日時点のDOGEの会計報告によると、打ち切った契約2300件のうち941件は、まったく支出の節約につながっていない。

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