あざやかな青いジャケットを着たフードデリバリー配達員の運転するスクーターが、雨で滑りやすくなった路面を、混雑した交差点に突っ込み、曲がろうとしていた車に衝突。ドライバーは路面に投げ出された──。

これは中国の警察当局が、配達員のスピードの出し過ぎを注意するため、サイトに掲載したビデオの一場面だ。

中国では食事の出前サービスがブームとなっている。推定約300万人に上る配達員の多くが、静かな電気スクーターか三輪バイクを運転しており、彼らによる交通事故が急増している。

警察当局が注意喚起に乗り出すなか、配達ドライバー自身からも、安全よりもスピード重視のプレッシャーにさらされているとの不満が聞こえてくる。

「ラッシュアワーは、いつも事故が起きる。友人は車にはねられ、2カ月働けなかった」と、北京で配達員をしているZhangさんは言う。

中国のオンライン出前市場は、電子商取引大手アリババ・グループ・ホールディングスやネットサービス大手騰訊控股(テンセント・ホールディングス)<0700.HK>が支援するサービスが主導している。国営の中国インターネット情報センターの報告書によれば、今年前半には利用者が41・6%増加し、3億人に達した。

上海では、出前配達員が絡む死傷事故が、今年前半だけで76件発生し、警察当局は8月、大手デリバリー各社に対して交通安全基準の改善を求めた。

上海警察当局によると、デリバリーサービス最大手「美団外売」と「Ele.me(餓了麼)」のドライバーが引き起こした事故が、全体の事故件数の4分の1を占めた。

このニュースは全国的な反響を呼び、警察やメディアは一斉に業界を非難するようになった。

南京市の警察は20日、配達員が絡む事故が今年前半だけで3000件以上に達したことを受け、フードデリバリー各社と面会。事故の9割以上は、配達員側に落ち度があったと、国営メディアは報じている。

1件の配達所要時間は30分以下