自動車やアボカドなどメキシコの主要な輸出産業はこの20年間、北米自由貿易協定(NAFTA)の下で拡大を続けてきた。しかし米大統領選で勝ったドナルド・トランプ氏が公約通りNAFTA撤廃に踏み切れば、成長が断ち切られる危機に直面している。

 トランプ氏はNAFTAについて、米国の労働者を犠牲にしてメキシコを優遇していると訴え、見直しか撤廃を掲げている。またメキシコとの国境に巨大な壁を作り、メキシコからの輸入品に高い関税を課す可能性も示している。

 1994年のNAFTA発効以来、メキシコの対米輸出は6倍に増え、昨年は約3200億ドルに達した。かつて孤立していたメキシコ経済は投資の拠点に変貌し、工場を建設する外国の大手企業も現れた。

 それだけにトランプ氏勝利の衝撃は大きい。メキシコの全国製造業組合のマルセロ・ヒノホサ会長は「目の前で起きたことが信じられなかった」と述べた。

 トランプ氏の勝利で、自動車業界などメキシコとの自由貿易を支えにしてきた製造業者は新たな圧力にさらされている。

 ノエボ・レオン州自動車クラスター協会のディレクターのマヌエル・モントヤ氏は、NAFTAが廃止されればメンバーにとって「ひどいことになる」と指摘。

 メキシコ製自動車は米国製よりも価格が3000ドル安いため、メキシコから輸入しなければ米国の消費者にも負担増という影響が及ぶと訴える。

 メキシコの自動車産業はNAFTA発効前はほとんど取るに足らない規模だったが、今や世界で最も規模が大きく、成長の速い生産拠点の1つとなり、世界のサプライチェーンで不可欠の存在になっている。

 メキシコの農業にとってNAFTAの影響はプラスとマイナスが入り混じっているが、明らかな勝ち組もあり、その1つがアボカドだ。