<ニンテンドースイッチ用『Pokémon LEGENDS アルセウス』で最も素晴らしいのは、モンスターがプレーヤーを殺すことさえできること>

ニンテンドースイッチ用のポケモンシリーズ最新版『Pokémon LEGENDS アルセウス』は、近年まれに見る面白さだ。

新しいモンスターもいるし、これまでにない進化もある。しかし新たに備わった特徴のうち筆者が最も気に入っているのは、ポケモンたちがプレーヤーを殺すことさえできる点だ。

これまでのシリーズでは、ポケモンはプレーヤーに脅威を及ぼさなかった。テディベアに似たキテルグマについて、ポケモン図鑑の記述には「愛情を示すために抱き締めようとするが、骨を砕かれるので危険」と書かれているが、ゲームに「ハグ」のボタンがあるわけではない(あったら試してみたかった)。

『ポケットモンスター ソード・シールド』(2019年発売)では巨大化したポケモンがプレーヤーのすぐそばまで迫ってきたが、実際に捕まえたりはしなかった。そう、今までポケモンに危険な要素はなかったのだ。

けれども、これからは違う。「キング」「クイーン」と呼ばれる強力なポケモンの中には、両腕が斧(おの)のようになっていてプレーヤーを傷つけられるモンスターもいる。別のキングは氷の柱でプレーヤーを突き刺そうとする。

かわいらしいライオンのようなコリンクでさえ、プレーヤーを感電させられる。ムクバードやゴーリキーまでがプレーヤーを待ち伏せするから、そのたびに逃げる羽目になりドキドキが止まらない。

このゲームにはさらなる目玉もある。体が巨大で鋭く光る赤い目を持つ「オヤブン」と呼ばれるポケモンたちだ。

私は単純な喜びを求める単純な人間だ。だから大きなゲンガーは好き。大きなリングマも好き。大きなビッパは特に好きだ。この子たちをすみかから追い払うなんて気が引ける。

でも考えてみたら、この子たちはリアルじゃない。スクリーンのピクセルでしかないのだ。それでも、いつもより少しふっくらしたカビゴンを目にする喜びは、コロナ禍が深刻になった一昨年の3月以来、最もリアルな感覚だった。

最大の魅力はポケモンの抱える矛盾を理解している点
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