歌詞には男性の下半身について触れたジョークも含まれるが、悪くはない。
それが権力の象徴として使われているからであり、反権力というテーマが彼女の得意とするところだからだ(対して前述の「ウッド」では、同じ語が彼女の婚約者の「サイズ」の意味で使われている。そんなの、ケルシー以外の誰も聴きたくないはずだ)。
下品だと言われれば、スウィフトはきっと「でも男たちは昔からポップミュージックの世界で自分のアソコを自慢してきたでしょう」と反論するに違いない。そのとおりだが、あいにくスウィフトは性的なジョークが苦手。無理して口に出しても、たいていはシラケてしまう。「ウッド」もそれで損している。
下品な単語を使う際に彼女に見られるぎこちなさは、通常の社会経験をしないまま大人になったかつての子役スターが陥りやすい「成長の停滞」の一症状かもしれない。スウィフトのリベンジソングの多くに見られる子供じみた不機嫌さも同じだろう。
スウィフト自身、2022年の『ミッドナイツ(Midnights)』収録曲「アンチ・ヒーロー(Anti-Hero)」(彼女の自己描写としては傑作の1つだろう)でこう告白している。「年を取っても賢くならない、それが私の問題(I have this thing where I get older, but just never wiser)」と。
しかし彼女のファンは、そんなことを問題にしていないようだし、そうした彼女の一面こそが、新しい世代の若者を次々とスウィフトに夢中にさせる一因なのだろう。