
その『レピュテーション』で組んだスウェーデンの大物プロデューサー、マックス・マーティン(Max Martin)と久々にコラボしたのに、彼らしい「腹が立つほど感染力のある」メロディーは聞こえてこない。
1曲目の「ザ・フェイト・オブ・オフィーリア(The Fate of Ophelia)」と3曲目の「オパライト(Opalite)」のサビとブリッジにはその片鱗が見えるが、全体としては物足りない。
Taylor Swift - The Fate of Ophelia (Official Music Video)
2014年に発表されたシングル「ブランク・スペース(Blank Space)」や「ニュー・ロマンティックス(New Romantics)」ほどに研ぎ澄まされた究極のポップスは、ここにはない。
究極の1曲を再現することが不可能なのは承知しているが、昨年の『トーチャード・ポエッツ』にあったような彼女らしい複雑微妙なモノローグも、ここにはない。
まあ彼女にとってのハッピーエンドらしきものの時期に制作されたアルバムだから無理はないのだが、聴き手にとってはどうにも中途半端で、彼女のハッピー感を共有するところまでいけない。
それはたぶん、あまりにも時間に追われ、ゆとりを持てないままに曲を書き、レコーディングをしたせいだ。
かつてのスウィフトは自分の苦悩を聴き手と分かち合えるソングライターだったが、今は超の付くスーパースターで、超ハッピーな婚約をしたばかり。並みの聴き手では、なかなか共感しにくい。
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