「縁の下の力持ち」が活躍した

そんなミギーが打ったからこそ、あの一発はチームの起爆剤になった。しかも相手は苦手な右投手。「まだ終わっていない」と、ミギーが行動で示した渾身のメッセージだった。

後になって分かったことだが、第6戦のファインプレー後にキケの祝福のハグで以前からの左脇腹の痛みが悪化。第7戦では痛み止めを打ちながら出場し、あの同点弾を打った際も脇腹に激痛が走っていたという。

今年のドジャースのポストシーズンは、そんな「縁の下の力持ち」たちが刻む伝説的な瞬間の連続だった。ブルペンが次々と崩れるなか、ポストシーズン前半で佐々木がクローザーとして躍動したことはチームに希望を与えた。

クレイトン・カーショウを有終の美で送り出したいという思いもチームを一つにし、延長18回まで続いた第3戦でカーショウが12回に救援登板し抑えた姿は、多くの人の胸を打った。

優勝決定戦でアンディ・パヘスがキケに「ダンク」してまでつかんだフライキャッチも、これから何年も語り継がれるだろう。

11月3日、優勝パレード後のフィールド。少し酔ったアンソニー・バンダは、「みんなで『51』を着けて戦えたことを誇りに思う」と、WS直前にチームを離脱したアレックス・ベシアを思い胸に手を当てた。

ベシアは生まれたばかりの待望の第1子が亡くなってしまっていたことを11月7日に公表したが、舞台が大きくなるほど集中し、きっちり結果を残した彼の存在があってこその2連覇だ。

いつもなら、最有力候補が優勝する展開にはどこか抵抗を覚えるが、今回ドジャースが改めて教えてくれたのは、どれだけスターがそろっても「野球は本当に難しい」ということ。

彼らの真の強さは、潤沢な資金力でも、スター選手の名簿でもない。最後の最後まで戦い抜く集中力と精神力、そして互いを信じ合い、支え合う力にほかならない。

トロントで迎えたその日はスマートフォンが「体感温度0度」を示す寒さだったが、スタジアム内はカナダの誇り全開の熱気に包まれていた。カナダ国歌を大熱唱し、試合中もずっと席に座らず立ったまま。
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