イエス・キリストは死に、岩をくりぬいた墓に収められ、そして復活した。見よ、イラン領空で撃墜されたわが軍のパイロットも同じではないか。米国防長官ピート・ヘグセスはそう言いたいらしい。

4月3日に撃墜され、行方不明になっていた空軍大佐が無事救出されたのを受けて、ヘグセスは復活祭明けの6日に開いた記者会見で言ってのけた。「撃墜されたのは金曜日、それも聖金曜日だった。土曜日はずっと洞窟に、岩の割れ目に潜んでいた。そして日曜日に救出された。復活の日の朝、パイロットはよみがえり、帰還し、国中が歓喜に沸いている。おお、神(ゴッド)は善(グッド)なり」

気持ちは分かる。あの救出劇はくしくも復活祭の日程と重なっていた。聖書の記述とそっくりなことが、いまイランで起きたと言えなくもない。トランプ政権の財務長官スコット・ベッセントもSNSに、これは「復活祭の奇跡」だと書き込んでいる。

だがヘグセスは度が過ぎる。第2次トランプ政権で国防長官に起用されて以来、とりわけ今度のイラン戦争が始まってからは軍隊の強力な宣伝装置を最大限に利用して、今のアメリカでも極右に分類されるキリスト教団の主張を広めている。

「歴代の国防長官と違って、ヘグセスは露骨にキリスト教的な言説を用い、キリスト教の中でもすぐれてセクト的な解釈を公的発言に持ち込んでいる」。そう批判したのは米NPO「公共宗教研究所」を率いるメリッサ・デックマンだ。「私の思うに、ヘグセスは間違いなく保守派のキリスト教徒で、キリスト教国家主義を掲げる教会に属している。アメリカはキリスト教の国であり、キリスト教徒が社会の全てを支配すべきだと、あの人たちは信じている」

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国防総省の長年にわたる姿勢を無視するヘグセス
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