自身の考えに合わない制服組の高官を次々と解任

ただし、独立戦争中にワシントンがバレーフォージでひざまずいて祈ったことを示す具体的な資料は存在しない。それに、当時はまだ合衆国憲法が制定されておらず、政府による国教の樹立を禁じた修正第1条も存在しなかった。またルーズベルトが1941年に聖書を配ったのは事実だが、彼はそこに一文を寄せ、聖書は「多様な信仰と出自の人々」にとって「知恵と助言、啓発」の源になると記していた。

ここへきて、ヘグセスは自分の考える軍隊のビジョンにそぐわない制服組の高官を次々と解任している。陸軍参謀総長のランディ・ジョージや、従軍聖職者のトップに立つウィリアム・グリーン少将などだ。

なおグリーンは黒人で、解任は一種の報復人事とみられている。現在200以上ある軍人用の信仰分類コードを31に減らすというヘグセスの方針に反対していたからだ。前出のワインスタイン(ユダヤ系で、空軍の元法務総監)によると、ヘグセスの案だと「無神論や不可知論、ウィッカ(魔術信仰)のコードも削除されてしまう」そうだ。

ヘグセスはまた制服組の人事へも介入し、将校4人の准将への昇進を阻止した。4人のうち2人は女性、2人は黒人と伝えられている。

ヘグセスは将官クラスを「異性愛者の男性でキリスト教保守派の白人」で固めるつもりだ、とワインスタインはみる。ちなみに彼の推定では、現状でも国防総省職員の約30%はキリスト教国家主義者だという。

なおローマ教皇レオ14世は3月29日に、神は戦争を始める者たちの祈りを聞き入れないと語っている。公の場で「慈悲に値しない者たちに圧倒的な暴力を加えたまえ」と祈り、神に「不信心者の歯を折る」よう求めたヘグセスを暗に批判した発言とみていい。

戦争に神のご加護があるように見せかけている
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