「兵士の過半数は彼の熱意を好感している」との主張も

かつて軍の高官だった人たちからも憂慮の声が上がっている。軍人の多様性や信仰の自由を踏みにじれば、前線にいる兵士たちの結束が揺らぎかねないからだ。

国防総省のデータによると米軍の現役兵士の数は約130万人で、民族や宗教は実に多様だ。19年の議会調査局の報告によると、現役兵の約70%はキリスト教徒と申告している(無宗派32%、カトリック20%、プロテスタント18%)が、およそ4人に1人は「その他/非分類/不明」だ。またユダヤ教やイスラム、仏教やヒンドゥー教などの信者と申告した人は2%に満たないという。

むろん、反論もある。保守系シンクタンク「ヘリテージ財団」の客員研究員スティーブン・ブッチに言わせると、ヘグセスへの批判は「過剰」であり、「トランプとヘグセスの間に亀裂を生じさせたい願望」の産物だ。陸軍特殊部隊の出身で元国防総省高官のブッチによれば、ヘグセスの宗教色が軍人の間に分断を生むことはなく、彼の「信仰に関する率直さ」を快く思わない「少数の兵士」がいたとしても、「兵士の過半数は彼の熱意を好感し、個人的に共感する人も多い」はずだ。

だが先の軍曹によると、多くの若い兵士は戦争に宗教を持ち込む言説を不適切と感じており、彼のような下士官たちも「過去に戦争犯罪の遂行を支持した」ヘグセスの言動に強い懸念を抱いている。ヘグセスが昨年、陸・海・空軍の法務総監を解任したことも不安をかき立てる。

一方、国防総省のキングズリー・ウィルソン報道官はヘグセスを「多くの国民と同様に立派なキリスト教徒」と呼び、「キリスト教の信仰はわが国に深く根差しており、初代大統領のジョージ・ワシントンは宿営地バレーフォージで神に祈ったし、第2次大戦中のフランクリン・ルーズベルトは兵士たちに聖書を贈っている。何の問題もない」としている。

自身の考えに合わない制服組の高官を次々と解任
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