<ミサイル原潜、戦略爆撃機、ICBM、米核戦力の3本柱を現場で支える人々の素顔とは>


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破壊力と人の理性が隣り合う

常時態勢で致命的な任務に備える──それが、核兵器を扱う米軍要員に課せられたミッションだ。

本誌のナビード・ジャマリ記者は先頃、米海軍の戦略ミサイル原子力潜水艦に搭乗する機会を得た。その結果、トライアド(アメリカの核戦力の3本柱)を構成する戦略爆撃機、大陸間弾道ミサイル(ICBM)、弾道ミサイル搭載原子力潜水艦(SSBN)の全ての撮影に成功した初のジャーナリストになった。

そもそもの始まりは、自身がホストを務める動画シリーズの単発エピソードとして、2023年1月に戦略爆撃機B52内部を撮影したことだ。

当時はトライアドを網羅する「考えはなかった」と、米当局の元諜報員で、米軍で情報活動を担当したジャマリは筆者に語る。だが昨年4月、ICBMミニットマンIIIを撮影することになり、空に続いて陸での核運用の模様をカメラに収めた。

それから7カ月後には、ステルス戦略爆撃機B2スピリット機内を撮影するチャンスが訪れた。同機で飛行したことがあるのはジャマリで820人目だそうで、かなり貴重な体験となった。そして今年8月、SSBNのワイオミングに搭乗した。

ジャマリによる動画シリーズの2023年10月のエピソードより

ジャマリにとって最も重要な成果は、核兵器を扱う米軍兵士について学んだことだ。多くが20代前半というその年齢に衝撃を受けた。

これらの若い男女はアメリカ各地の出身で、社会経済的背景もさまざまだ。だが全員に共通していることが一つあると、ジャマリは話す。任務に対する責任感だ。

彼らはいずれも、懸命に努力して現在の立場を手にし、任務が要求する困難な生活環境に立ち向かっている。

「若い女性や男性が何カ月も海底で過ごしたり、非常に厳しく危険な状況の隔絶した環境でミサイルに携わっている。しかも、自分たちの行動が全て、核を保有する敵に監視されていると知っている」

彼らの責任感を肌で感じたのは、B52に搭乗したときだ。「重大な故障」のせいで周囲の金属部品が異常な熱を持ち、触れないほどになった。「それでも操縦士と乗組員は、ミッションを遂行しなければならなかった。まさにプロ意識の証しだった」

ほとんどの米国民は意識していないだろうが、これらの核兵器は日々、抑止力の重要な一部として機能している。「恐ろしい任務を遂行する能力が必要とされることを、核兵器要員は誰もが理解している。もちろん、最初の責任は抑止だ。だが抑止に失敗したら、2つ目の任務を遂行する責任がある」

ジャマリがホストを務める動画シリーズ『Unconventional』次回予告
破壊力と人の理性が隣り合う
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