ドイツのベルテルスマン財団は22日、欧州を国境検査なしで自由に移動できる「シェンゲン協定」が崩壊した場合、欧州連合(EU)は今後10年にわたり最大1兆4000億ユーロの経済的打撃を受けるとの試算を発表した。

 最悪のシナリオとして、EUの国境管理を復活させた場合、輸入価格は最大で3%上昇し、今後10年間の経済的影響はドイツで2350億ユーロ、フランスは2440億ユーロに達する。

 輸入価格の上昇が1%にとどまった場合、今後10年間のEUへの影響は約4700億ユーロになる。

 最悪のシナリオ下では、EUへの経済的影響は最大1兆4000億ユーロとなり、EU28カ国の年間国内総生産(GDP)の約10%に達する。

 ベルテルスマン財団の代表は「仮に欧州で国境管理が再開されれば、既に軟調な経済成長にさらなる圧力がかかる」と指摘した。

 シェンゲン協定は30年以上前に発効し、現在26カ国が参加している。そのうち22カ国はEU加盟国。ただ、欧州へ押し寄せる中東やアフリカからの難民に対応するため、一部の国では国境管理を昨年秋から一時的に復活しており、EUの移動の自由の理念が揺らいでいる。

 ベルテルスマン財団は、シェンゲン協定崩壊はユーロ圏外の国にも影響を及ぼすとし、米国と中国への経済的影響は今後10年で910億─2800億ユーロに達すると試算している。

[ベルリン 22日 ロイター]
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