「ニコチン酸アミドは、シンプルなビタミンB3誘導体でありながら、皮膚がん予防において実用的な選択肢として有望です」と語るのは、オーストラリア・クイーンズランド大学フレイザー研究所の主任研究員のユスフ・モハメッド博士だ。

「とくに[表皮の角化細胞が悪性化して発生する]有棘細胞がん(ゆうきょくさいぼうがん:SCC)において顕著な効果が見られ、リスクは20%以上低下しました。なかでも、最初の皮膚がん発症後すぐにニコチン酸アミドを摂取した患者では、リスクが約50%も低下しています。このことから、摂取開始時期の早さが重要な鍵であることが示唆されます。

(...)臨床医にとって、ニコチン酸アミドの魅力は入手のしやすさ、安全性、副作用の少なさにあります。レチノイド系や侵襲的治療法とは異なり、ニコチン酸アミドは安価かつ市販で購入可能な選択肢であるためです」

 

一方で、臓器移植を受け、免疫抑制療法を受けている患者に対しては顕著な効果を示すことはなかった。ただし、早期導入を条件に限定的な有効性が見込まれる可能性はあるという。

「この結果は、長らく過小評価されてきたニコチン酸アミドによる低リスクの介入法が、特に既往歴のある患者にとって皮膚がん予防の一助となり得るという、多くの皮膚科医が指摘してきた見解を裏付けるものです」(モハメッド博士)

今後の課題として、追跡研究による実証と、効果の高い被験者「スーパー・プロデューサー」の特定による個別的介入戦略が必要だとウィーレス医師は指摘する。

アメリカでは、生涯のうち約2割の人が皮膚がんを発症するとされており、研究者らは今回の研究が予防の新たな手段として活用され得ると指摘する。なお、ニコチン酸アミドは市販のサプリメントであり処方箋は不要だが、服用の際には医師や薬剤師に相談することが推奨される。

【参考文献】

Breglio, K. F., Knox, K. M., Hwang, J., Weiss, R., Maas, K., Zhang, S., Yao, L., Madden, C., Xu, Y., Hartman, R. I., & Wheless, L. (2025). Nicotinamide for Skin Cancer Chemoprevention. JAMA Dermatology.

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