娘との和解も予定調和で、現実味のある関係修復というより脚本の都合に見えてしまう。

リーズルに扮したスレアプレトンの演技は小気味いい。だが脚本が彼女の痛みや怒りを掘り下げないため、感情移入できない。全体として、物語が防弾ガラスならぬ「防感情ガラス」の向こうで繰り広げられているように思える。

トム・ハンクス、ホープ・デービス、ジェフリー・ライトらが集結したキャストは大所帯で超豪華。その中で一際光るのが、助手を演じたマイケル・セラだ。

彼の淡々とした口調はアンダーソンが書くオフビートで早口なセリフと相性抜群だから、ぜひまた組んでもらいたい。

私のランキングで、『ザ・ザ・コルダ』は『ダージリン急行』と同じ底のほうに位置する。それでもこの常に想像力豊かでとびきりこだわりが強く、時折天才のひらめきを見せる映画作家が次に何を撮るのか興味は尽きない。

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THE PHOENICIAN SCHEME

ザ・ザ・コルダのフェニキア計画

監督/ウェス・アンダーソン

主演/ベニシオ・デル・トロ、ミア・スレアプレトン

日本公開は9月19日

【動画】『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』予告編
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