<天津で開かれた上海協力機構(SCO)首脳会議は、西側諸国の地盤沈下を背景に国際的な注目を集めた。だが、中国の狙いは別にある>


▼目次
1.西側失速の隙に広がるSCO
2.「仲良しアピール」も内実は不協和
3.SCOは前座、中国の本番は軍事誇示

1.西側失速の隙に広がるSCO

30人ほどの世界のリーダーがいかめしい表情で見守るなか、きらびやかな衣装をまとった踊り子たちが、華やかなパフォーマンスを披露する。

9月初めに中国の天津で開かれた上海協力機構(SCO)首脳会議。そこに集った各国首脳は、中国が念入りに計画した歓迎イベントにも出席した。

その狙いは、非西側世界の中心としての中国の姿を世界に見せつけることだ。

2001年に発足したSCOは、かつては「独裁者クラブ」として、まともに扱われることはなかった。

その首脳会議は、中国やロシアの研究者にとっては関心の的だったが、今回の天津首脳会議ほどの国際的なメディアの注目を集めたことはない。

そんなSCOが急に大きな注目を集めるようになったのは、総じて、西側諸国の政治的地盤沈下のせいだ。

8月15日にドナルド・トランプ米大統領が、アラスカでロシアのウラジーミル・プーチン大統領と2人きりで会談した後、ヨーロッパ諸国の首脳がワシントンに駆け付けて会合を持ったことが示すように、米欧関係は深刻な危機に陥っている。

ヨーロッパ諸国はアメリカに見捨てられることに怯えつつ、自力でロシアに対抗することなど考えられない。

その一方で、トランプは友好国であれ敵国であれ、突然激しい悪意と怒りをぶつけてくる。まさに「西洋の没落」を危惧する状況が生じているのだ。

では、SCOは西側諸国に代わって、世界の未来のカギを握っているのか。

「イエス」というのが、今回、中国の習近平(シー・チンピン)国家主席の招きに応じた国家首脳の少なくとも一部の答えのようだ。

なにしろアントニオ・グテレス国連事務総長でさえ、国連の今日性をアピールするために姿を見せ、「多極的な世界を構築する」必要性と、SCOはそのような世界を構築するための「基礎」の1つになると熱弁を振るった。

2.「仲良しアピール」も内実は不協和

だが、現実はもっと複雑だ。もともとSCOは、中央アジアにおける中国とロシアの影響力拡大を管理するという、極めて特殊な目的のために設置され、国際組織としては長年マイナーな存在だった。

そこにインドやパキスタン、イラン、さらにはベラルーシが加わり、発足当初のミッションは希薄化した。現在のSCOは、多国間首脳晩餐会といったイベント以外に提供できることはほとんどない。

例えば、インドのナレンドラ・モディ首相が天津で経験したことは、SCOの抱える問題を浮き彫りにしている。

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【note限定公開記事】「独裁者クラブ」の悲しき存在意義...習近平がSCOを利用する理由


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