ブラジル北東部の小児科医アンジェラ・ロチャ氏が「小頭症」の子どもの頭部を計測している。小頭症は先天的な神経系の合併症で、現在アメリカ大陸で猛威を振るう「ジカ熱」ウイルスに関連して発症するとされている。

 診療室の外では、頭部が異常に小さい乳児を抱いた母親が7人、検査を受けるために何時間も並んで待っている。蚊が媒介するジカ熱感染流行の震源地となったペルナンブーコ州では、わずか数カ月間で1000を超える小頭症の症例が報告された。

 「不意を突かれて驚いた」と州都レシフェのオズワルド・クルス大学で感染症を長く研究しているロチャ医師は語る。そこでは医師が小頭症と診断された300人もの乳児の治療に奮闘している。

 驚いたで済ませるのは控えめすぎるだろう。

 ブラジルはこれまで長年にわたり、デング熱、黄熱などの熱帯病流行の原因となったネッタイシマカと闘ってきた。だが、ジカ熱の流行は政府、公衆衛生機関、そして医師のいずれにとっても完全に不意打ちだった。

 熱帯性気候、人口稠密な都市、劣悪な衛生状態、そしてずさんな建築は、蚊の発生源として、そしてジカ熱ウイルスの蔓延にとっても理想的な条件を備えている。ブラジル北東部から始まったジカ熱の流行は瞬く間に全土に広まり、さらに米州20カ国以上で猛威を振るっている。

 「蚊やウイルスを止めるのに必要な条件や情報が欠けていた」と、隣接するバイーア州の疫学者で、公衆衛生のプロの集まりであるブラジル公衆衛生保健協会のマリア・ダ・グロリア・テイシェイラ理事はこう指摘する。

 政府や国際保険機関らが警鐘を鳴らすなか、ブラジルでは、少なくとも感染拡大が沈静化するか、この先何年かかるか分からないがワクチンが開発されるまでは、妊婦が蚊に刺されないよう対策を取り始めている。

 ブラジル保健省は今週、米国立衛生研究所とワクチン開発協力に関する合意を締結する見通しと発表した。南米では、女性にしばらく妊娠を控えるよう呼びかける国も出てきている。

圧倒

 因果関係はまだ証明されていないものの、科学者は、妊娠中にジカ熱に感染したと思われる母親と小頭症の子どもとのあいだに臨床的な関連を見出している。