「私たちだって人間だ」

コームス=ホルブルックは、2000年から2009年まで模範的な受刑者を目指して、あらゆる規則に従ってきたという。しかし09年、ある職員に命じられた身体検査の内容が、彼女の尊厳に深い傷を残した。

職員は彼女に、椅子の端に体をずらし、脚を持ち上げて、かかとを合わせるよう指示したという。そして両手を臀部に当て、陰部を広げるように、と。

「これが私のメンタルヘルスと身体の自己決定権に及ぼした影響は深刻だ。私は性暴力だけでなく、家庭内暴力も経験してきた。だから『イエス』であれ『ノー』であれ、自分の意思をはっきり示すことの大切さをよく理解している」

「ジェーン・ドウ」として証言した女性は、過去に州内の施設で男性職員2人から性暴行を受けた経験がある。「覗きなんて許されない」と彼女は言う。「それを見て、しかもカメラに収めるなんて、覗きそのものだ」

「彼らは私たちを守る存在のはず。それなのに、私たちは守られなかった。だから私たちは(今回の訴訟で)自身を守るためにできるかぎりのことをしようとしている」

トウルは録画によって精神的に抑圧され、うつ状態に陥ったという。過去に受けた性的虐待の記憶が「呼び起された」と話す。

「刑務所にいようがいまいが、私たちだって人間だ」と、トウルは言う。「多くの人が、私たちを人間として見ていないように感じる。刑務所にいる間は人間じゃなくて、外に出た瞬間に人間に戻る」

「他の人間と同じように尊重されていない。特に腹立たしいのは、同じ女性にこうしたことをされてきたという事実だ。それは意図的だった。職業的でもない。彼女たちは計画的に、私たちにこんなことをしたのだ」

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