「この無限なものは殺人よりも強いのであって、〈他者〉の顔としてすでに私たちに抵抗している。この無限なものが〈他者〉の顔であり本源的な表出であって、『あなたは殺してはならない』という最初のことばなのである」(『全体性と無限』)

さらに、「他者の存在そのものが倫理」です。「他者」は自分の思うようにならない存在ですが、このことが勢い余って殺人へと発展します。殺すと「他者」は「他」ではなくなります。これが殺人です。「顔」は、「あなたは殺してはならない」というメッセージを持っています。レヴィナスは、他者の無限の応答への責任を果たすことが倫理であると考えました。


富増章成(とます・あきなり)

河合塾やその他大手予備校で「日本史」「倫理」「現代社会」などを担当。中央大学文学部哲学科卒業後、上智大学神学部に学ぶ。歴史をはじめ、哲学や宗教などのわかりにくい部分を読者の実感に寄り添った、身近な視点で解きほぐすことで定評がある。

著書に『超訳 哲学者図鑑』(かんき出版)、『読破できない難解な本がわかる本』(ダイヤモンド社)、『図解でわかる! ニーチェの考え方』『図解 世界一わかりやすい キリスト教』『誰でも簡単に幸せを感じる方法はアランの「幸福論」に書いてあった』(以上、KADOKAWA)、『日本史《伝説》になった100人』(王様文庫/三笠書房)、『オッサンになる人、ならない人』(PHP研究所)、『哲学の小径―世界は謎に満ちている! 』(講談社)、『空想哲学読本』(宝島社文庫)など多数。

この世界を生きる哲学大全の書影

『この世界を生きる哲学大全』
富増章成[著]
CEメディアハウス[刊]

(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)

【関連記事】
ニューズウィーク日本版 戦争インフレ
2026年4月28号(4月21日発売)は「戦争インフレ」特集。

ホルムズ海峡封鎖でガソリン・日用品が高騰。世界経済への悪影響と「出口」を読み解く

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
※画像をクリックするとアマゾンに飛びます