マーティンは地震被害の全容把握も数週間かかるとみる。最終的に死者は1万人を超える可能性もある。その一方で、軍政は援助物資の一部を国軍の兵士のために、あるいは自分の懐を肥やすために横領するだろう。

「雨期までに十分な援助が届かなかった場合、さらに死者が増える。一方、NUGはEAO支配地域での援助活動によって国際社会での認知度を高めている」と、マーティンは語る。

そうなれば、軍政はますます窮地に陥る。シットウェではEAOに対して圧倒的に劣勢にあるし、マンダレーも中国とロシアの軍事支援なしで、防衛は難しい。

カイン州やラカイン州、モン州、シャン州の民族組織は既に独立を宣言できる状況にあるが、彼らの究極の目標は、ヤンゴンやマンダレー、ネピドーなどの主要都市も制圧して幅広い勝利を収めることだ。

今回の大地震は反政府勢力にとってプラスとなり、早ければ1年以内に軍政との内戦に決着をつける可能性も出てきた。なにしろ軍政には、都市部の住民が切実に必要としている援助を提供する能力も、失地回復の能力もない。

ただ、中国とロシアの戦略的利益と軍事支援を確立された場所で、アメリカは介入に消極的だ。ということは、アメリカの支援に期待する民主派は、さほど優位に立ったとは言えないかもしれない。

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