ティモシー・シャラメ演じるボブ・ディランのシルエット
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『名もなき者』は、予告編を見たときから嫌な予感がした。演技の出来とは関係ない。たとえシャラメがアカデミー賞級の名演技を見せても、私がドン引きし、ファンをやめる可能性はある。だが幸か不幸か、今回の演技はどちらのレベルにも達していなかった。

おぞましい爪の一件の後も、映画はミスを連発した。オースティン・バトラー(Austin Butler)は『エルヴィス(Elvis)』に主演して人気に火が付いたが、同じロックスターでもディランはプレスリーよりもクセが強い。

そして、シャラメが演じるディランはかなり性格が悪い。成功を後押ししてくれた恩人たちを嫌い、ファンを嫌い、コンサートでヒット曲をリクエストされれば腹を立てる。

嫌な奴が魅力的なキャラクターになれないわけではない。だが、シャラメのディランには面白みが足りない。

『レディ・バード(Lady Bird)』の嘘つきなクズ彼氏は最高だったが、ガールフレンドに何度頼まれてもゴミを出さず、テレビの前でぶつくさ文句ばかり言っているぐうたらミュージシャンはそこまで愛せない。

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耳障りでわざとらしい中西部のアクセントも失笑もの。キャスト全員がリアルな演技を心がけている映画で、シャラメは『セサミストリート』に出てくるカエルのカーミットのようだ。

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