<熱中症リスクの高まりや電気代の高騰が社会問題となるなか、株式会社ビルズアートは革新的な窓ガラス用の断熱コーティング剤を開発した。快適な室内環境と省エネを低コストで両立するこの技術は、地球温暖化対策として大きな可能性を秘めている>

世界を変えるには、ニュースになるような大規模なプロジェクトや商品だけでは不十分。日本企業のたとえ小さなSDGsであっても、それが広く伝われば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく──。この考えに基づいてニューズウィーク日本版は昨年に「SDGsアワード」を立ち上げ、今年で2年目を迎えました。その一環として、日本企業によるSDGsの取り組みを積極的に情報発信していきます。

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「夏は暑く、冬は寒い」日本の住宅の断熱性の低さに着目

地球温暖化は気温の上昇に伴って多くの健康問題をもたらしており、特に夏場の熱中症のリスクは急激に高まっている。国内の熱中症による死者数はこの20年で約7倍に増加しており、屋内で熱中症を発症するケースが少なくないことも分かっている。電気代の高騰なども相まって、エアコンの使用を控えたために熱中症になる人もおり、建物内部の温度管理は命に関わる重要な問題だ。

大阪府の塗装企業である株式会社ビルズアートは、「夏は暑く、冬は寒い」と言われる日本の住宅の断熱性の低さに着目し、窓ガラスのコーティングによって室内環境を改善することに取り組んでいる。

同社が開発した「次世代型省エネコーティングe-coatingHSG」は、窓ガラスに塗布することで夏は太陽光を遮り、冬は室内の熱を逃さないようにする、いわば窓の断熱材だ。このコーティングにより、日射熱の80%以上をカットし、年間を通して15〜20%程度の省エネ効果があるという。電力消費量とCO2排出量の削減につながる技術だ。

ビルズアートの代表取締役である高木聡氏は、「窓ガラスに一度コーティングすれば10年程度は遮熱・断熱効果が持続します。地球環境、自然環境、カーボンニュートラルに最適です」と話す。

この次世代型省エネコーティングは、2024年4月に日本最大の観覧車「OSAKA WHEEL」にも採用され、その効果が実証されている。エアコンを停止した状態で、コーティング済みのゴンドラと未施工のゴンドラの室温を比較したところ、最大で3.8度もの温度差が確認された。また、既存のコーティング材の課題となっていた曲面への対応や、景観を損なう歪みも解消していることから、ゴンドラから眺める景色を妨げることもない。

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検証作業の様子。コーティング済のゴンドラと未施工ゴンドラで最大約3.8℃の温度差があった。測定日時は2024年5月10日14:20~15:10。当日の天候は晴れで気温は25℃だった
「低コスト」と「手軽さ」で幅広い導入が可能に