◆豊科の市街地から清流の里へ




平成の大合併で生まれた安曇野市の一角をなす旧豊科町の市街地を抜けた。古びたガレージ、立派な山門がある寺院、こぢんまりとした町角の商店街。令和の今の暮らしと、昭和・平成の名残が共存するかわいい町だ。郊外の田園地帯の一本道に出ると暑さはピークに達し、冷たい湧水に一刻も早く出会いたくなった。
ほうほうの体でたどり着いた「安曇野わさび田湧水群」の流れは、果たして10秒も足をつけていられないくらい、キリリと冷たい清流であった。その急速冷凍で、熱中症寸前の体が生き返る。案内看板によれば、この地から湧き上がる水は、安曇野の扇状地に染み込んだ北アルプスの雪解け水で、真夏でも水温が15度を超えることはないという。環境省の「名水百選」に選ばれていて、透明度は限りなく高い。1日70トンという豊富な湧出量を誇り、下流に広がるわさび田やニジマスの養殖池に水を供給している。
わさびは、こうした冷たい清水がないと育たない。2013年に和食が世界遺産登録されたが、この清流を眺めていると、こんな日本固有の清純な自然風土が残されていてこそ、受け継いでいける食文化なのだと実感する。



湧水が流れ出す水路(万水川)に沿って、わさび田が広がるエリアにある大糸線・穂高駅でゴール。駅前の穂高神社に立ち寄り、旅の終盤の無事を祈願した。次回は、実際にわさび田を訪れて、和食の本質に迫りたい。



今回の行程:北松本駅 → 穂高駅(https://yamap.com/activities/7495767)※リンク先に沿道で撮影した全写真・詳細地図あり
・歩行距離=17.6km
・歩行時間=7時間23分
・上り/下り=61m/98m