リクルートワークス研究所が公表している「米国の社員リファラル採用のしくみ」というレポートの中では、米国の採用コンサルティング会社CareerXroads社の調査結果が紹介されている。大手企業(従業員数1500~1万人規模)36社が参加した2012年の調査で、リファラル採用による入社は採用全体の28.0%を占めており、過去10年間この割合はほとんど変わっていないとのこと。アメリカでは、昔から社員の紹介が採用の有効な手段なのだ。それが、日本でも本格的に広がり始めたと言えるだろう。
広がっているリファラル採用の対象は、正社員採用だけではない。小売や外食、塾などのアルバイト採用においても広がっている。あらゆる雇用形態で人手不足が深刻だからだ。
リファラル採用のメリットとしては、下記が挙げられる。
(1)人材紹介料や求人広告費がいらないので、採用コストを削減できる。
(2)転職市場に出てこない潜在層や、希望に合う人材にピンポイントに接触できる。
(3)会社を理解して応募するので、入社後の活躍の可能性が高く、早期退職のリスクが低い。
リファラル採用では、コストを減らせるうえ、企業の社風や仕事内容、求ねる人材像、企業の魅力などをよく理解している従業員が候補者を紹介してくれるので、マッチングの精度がより高くなり、書類選考や面接を行う時間も短縮できる。しかも、入社後の定着率まで高くなる可能性があるのだ。
一見良いこと尽くめのようだ。
しかし、そこに落とし穴がある。
新たな問題、「リファラル・ハラスメント」の危険性
リファラル採用で成功すると、企業が従業員に感謝の気持ちとして採用成功の報奨金を渡すケースが多い。企業にしてみれば、人材紹介会社に払う紹介料や求人広告費よりもはるかに安く済み、紹介した従業員も臨時収入が入るので喜んでくれる。
この感謝の気持ちとして報奨金が払われている段階までは良いのだが、紹介人数をノルマ化している企業もあるようだ。紹介を強要しているわけだ。
それで、冒頭に紹介した、何かを学ぼうと参加したセミナーで、隣の人からいきなり勧誘を受けるようなことが起こってしまう。初対面の人を勧誘するには勇気も必要だろう。声を掛けた本人は、きっと必死だったに違いない。紹介を出さないと、会社に居づらい何かがあるのかもしれない。
ノルマまで課していない企業では、経営者や人事部門には、自分が強要しているという自覚はないかもしれない。しかし、想像してみてほしい。毎月のように紹介者が全社朝礼で表彰され報奨金を渡されるのだ。