パワハラを行う人の過去の経験やキャラクターに起因するケース

1つ目は、パワハラを行う個人の過去の経験やキャラクター(性格)に起因するケース。これは、無意識に攻撃性を発揮してしまうので、なかなか厄介だ。

私が実際に遭遇した事例を紹介しよう。仕事のできる50代の男性がいた。業績目標も真っ先に達成し、常に工夫を繰り返し、仕事の質も高い。業務的には、模範のような人だ。

しかし、その部署に新入社員を配属すると、なぜか辞めてしまう。それも、複数人だ。調べてみると、パワハラまがいのことが起きていた。その50代男性が、新入社員に対して、ひどく叱責する。人格を否定する。そして周囲の人に、あいつはダメだと吹聴する。被害者が辞めたくなる気持ちも分かる。

その原因を探ると、男性が幼少の頃、親に厳しく育てられていたことが分かった。何事もナンバーワンでなければダメ、完璧でないとダメだと躾られ、そうでないと叱責を受け、食事を抜かれることすらあったようだ。特に父親は厳格で、世間的にも評価の高い会社の役職者だった。そうして本人は、ナンバーワンにこだわり、努力することが当たり前になった。しかし、常に父親に対するコンプレックスを持っていたようだ。

配属された新人の仕事の仕方が甘いと、純粋に腹が立つのだ。自分がストイックにナンバーワンであることや完璧さを追求しているのに、いい加減で努力もしないことが許せないのだ。そして、自分が受けたことと同じように、叱責し、人格を否定し、周囲に対してもその人を否定してしまう。パワハラをしている本人にとって、罪の意識がないのが特徴だ。

自分の存在感を確認するためにパワハラを繰り返す人も

似た事例では、40代の女性が、過度に自己主張し、自分の存在感を見せつけるためにメンバーを叱責しているケースがあった。背景を探ると、家の中では旦那さんに頭が上がらず、常に指示される役回りで、反論できない立場だった。

つまり、家庭の中で、自己肯定感が下がり続けていたのだ。その反動として、会社で自分の存在感や権威を確認していたのである。

このようなパワハラを防ぐ方法としては、自分の言動の特徴に気づいてもらい、相手がどう思うのかを考えてもらう。大事なのは、無意識だった行動を意識化させること。今まで行っていた叱責や罵倒を、やるかやらないか、また、代わりにどんな反応をするか。その時々の状況に合わせて判断できるようにしていき、行動を変えてもらうことから始めるとよい。

夜間行進、登山、名刺獲得競争という共通体験が...