それでもバイデンは撤退を望まなかった。彼が降りたのは、党内の不和と選挙資金の枯渇が悪化の一途をたどり、トランプに勝つ可能性が絶望的に低くなったからだ。

最終的に引導を渡したのは、長年にわたり下院議長を務めた民主党の重鎮、ナンシー・ペロシだったらしい。またバイデンがすぐに副大統領のハリスを後継に推したのは、自分が副大統領時代に後継者に選ばれなかった心の傷を忘れていないからだろう。

バイデンはアメリカという国家への忠誠を重んじる男だ。だからこそ自らの選挙戦継続を断念すると、すぐに無条件で副大統領のハリスを後継に推した。まさに有終の美を飾る潔い決断。おかげで民主党は8月の党大会における混乱を回避でき、その混乱に乗じてトランプが点数を稼ぐ事態を防いだ。しかもわずか1週間で、新たな候補者に導かれた民主党は失点を取り戻すことができた。

さあ、ここからはカマラ・ハリスの勝負だ。互角以上の勝機はある。そのときアメリカ人の語彙には、新たな単語が加わるだろう。「マダム・プレジデント」と。

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