ある政治学者は、この一件を「現代司法の歴史で有数の奇妙で重大な出来事」と評している。
もう1つの理由は、歴史を通じて育まれてきた大統領職への敬意と、今日の米社会をむしばむ政治的分断だ。
アメリカの司法は、国民の信頼を力の源泉にしている。国民の間で支持と不支持が激しく二分されている前大統領を刑務所送りにすれば、あまりに党派的な行動と見なされて、国民の司法への信頼を損ないかねないと、司法関係者は恐れているのかもしれない。
3つ目の理由は、極めて法技術的なものだ。アメリカの法律上、トランプを有罪にするだけの証拠を集めることは容易でない。検察側はトランプの犯意を立証しなくてはならないが、大組織のトップに関してはその立証が極めて困難だ。トランプは例えば脱税の疑いに対して、自分は税理士の用意した書類に署名しただけで、忙しくて内容を精査していないと主張してきた。
このようなケースで多忙を極めるアメリカ大統領の犯意を立証しようとしても一筋縄ではいかない。こうして、疑惑だらけのトランプは今も法の裁きを逃れ続けているのだ。
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