パンフレットには次のようなうたい文句がある。

「寂しい夜に付き添ってくれたハードディスク女神たち。手が触れられそうなほど近くにいるのにパソコンのスクリーンに阻まれて近づけない、永遠の片思いを続けるのですか。あの寒々しいパソコンのスクリーンをたたき壊し、日本という天国へ向かいましょう」

これを読んだ中国の中年男性は、P2Pソフトを駆使して海賊版AVを収集し続けていた若き日を思いだし、ついつい「今ならば俺も......」と心が揺らいでしまうという寸法だ。

実際にある「AV女優詐欺」の手口

パンフレットのツアーが実在していようといまいと、問題は「東京に行けばAV女優に会えるかも」というスケベ心につけこんだ詐欺が現に横行していること。それも嘆かわしいことに我がお膝元、歌舞伎町でである。

その手口は以下のとおり。

中国人観光客が歌舞伎町をぶらついていると、日本人の客引きに声をかけられる。日本語がわからないので戸惑っていると、客引きは「あ、中国の方ですね。少し待っていてください」と今度は中国人の客引きを連れてくる。

情けない話だが、最初から中国人の客引きが出てくれば、中国人は詐欺の確率が高いと警戒する。ところがまず日本人の客引きが相手することで、「日本人向けのサービスなのか。日本人ならば信頼できるのでは」と、ころっとだまされてしまうのだ。

中国人客引きは、こんなサービスがある、あんな店もあると列挙していくが、最後に小声で「実はAV女優が相手してくれるデリヘルがあるんですが......」と持ちかけてくる。相場は20万~30万円。

せっかく日本にやってきて、あこがれのAV女優にお相手いただけるならばと大枚をはたいてしまう人も少なくない。コンビニでは24時間ATMが稼働しているため、いつでも現金を引き出せてしまうことも被害を拡大させる要因となっている。

交渉がまとまり前金を払えば、後はホテルであこがれのAV女優がやってくるのを待つだけ。ところが女性はなかなかやってこない。約束の時間も終わりかけという時になってようやくドアがノックされる。

ついに来た!と喜び勇んでドアを開けると、なんとそこには自分の親よりも年上のような、ご高齢の女性の姿がある。文句をいってもその熟年女性は中国語がわからないので馬耳東風である。しばらく文句を言い続けていると、約束の時間が終わってしまい女性は立ち去ってしまう。

――というのが詐欺の一部始終である。

警察に訴えるなど大事にすれば、中国にいる家族にばれて大問題となってしまう。悔しいが泣き寝入りするしかないわけだ。なかには私のところに駆け込んできて、「取り返してくれたら、手数料として半分あげるから」などと頼んでくるものもいるが、いくら私が事情通とはいえ警察ではないので、どうもしてあげることはできない。

【参考記事】中国人観光客残酷物語

性風俗透明化へという潮流