最新記事

米イラン危機:戦争は起きるのか

米イラン危機、次の展開を読む――トランプはどんな代償を払ってでも勝利を目指す

NOT AFRAID TO WAG THE DOG

2020年1月17日(金)15時40分
サム・ポトリッキオ(本誌コラムニスト、ジョージタウン大学教授)

いまトランプが再選する可能性は高く見積もっても五分五分で、弾劾の危機にも直面している。そこへ何の前触れもなく、トランプはイランでも有数の指導者を殺害。メディアは、いつ第三次世界大戦が勃発してもおかしくないかのように騒ぎ立てた。

反トランプ派に言わせればソレイマニ殺害が示すのは、トランプの無知であり(殺害命令を出す前にソレイマニが誰かを知らなかったらしい)、極悪非道とも言える姿勢であり(トランプはウクライナ疑惑から有権者の注意をそらすという目的だけのために全面戦争さえ辞さない)、そして無能である(トランプ政権のリビア、イラン、シリアに対する動きは相互に矛盾しており、アラブ首長国連邦、カタール、サウジアラビア、トルコなどの同盟国は、一貫性のない政権の姿勢に困惑している)と声高に主張する。

これに対してトランプ擁護派は、司令官殺害はトランプが世界をより良い方向に再構築する大胆な指導者である証しだと反論する。彼らの世界観によれば、トランプはアメリカ経済に活気を与え、世界の舞台でアメリカの権威を回復させた、先見の明あるリーダーなのだ。

演説に凝縮された彼の全て

ウクライナの指導者にマフィア顔負けの違法な脅しをかけたとメディアに批判された1カ月後、トランプは世界で最も嫌われていたテロリストであるISIS(自称イスラム国)の指導者アブ・バクル・アル・バグダディを葬った。そして今回は、最も戦術にたけているとも言える敵を排除することで多くのアメリカ人の死を防いだと、彼らは考えている。

中東に詳しい著名な戦場記者デクスター・フィルキンズは6年前に、ソレイマニについて長い記事を書いた。シリア内戦で活躍し、イラン最高の軍指導者として中東を再編したソレイマニを、フィルキンズは「陰の司令官」と呼んだ。ソレイマニの有能さと冷酷さは伝説となっており、頑強で戦いに鍛え抜かれた中東のリーダーらしい精神の持ち主だった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

焦点:外為特会、減税財源化に3つのハードル 「ほく

ワールド

スペイン、16歳未満のソーシャルメディア利用禁止へ

ワールド

香港小売売上高、12月は前年比6.6%増 8カ月連

ビジネス

フジHD、旧村上系が大規模買付取り下げ 外部資本導
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗り物から「勝手に退出」する客の映像にSNS批判殺到
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れるアメリカ」に向き合う「日本の戦略」とは?
  • 4
    トランプ不信から中国に接近した欧州外交の誤算
  • 5
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から…
  • 6
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 7
    中国政府に転んだ「反逆のアーティスト」艾未未の正体
  • 8
    関節が弱ると人生も鈍る...健康長寿は「自重筋トレ」…
  • 9
    最長45日も潜伏か...世界が警戒する「ニパウイルス」…
  • 10
    地球の近くで「第2の地球」が発見されたかも! その…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 3
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から脱却する道筋
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 6
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 7
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 8
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 9
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 10
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中