最新記事

東京五輪

東京五輪、マラソンスイミングも会場変更して! お台場に懸念の米水泳チームが訴え

2019年12月9日(月)18時00分
松丸さとみ

定められた水温の上限は31度だが、お台場は30.5度まで上がった...... 写真はトロント Erich Schlegel-USA TODAY Sports-REUTERS

<米国のオープン・ウォーター・スイミング(OWS)関係者からも、会場を変更してほしいという声が上がっている......>

水温の高さと水質の悪さで競技参加に不安

東京五輪の会場について、11月にはマラソンと競歩で気温を理由に東京都から札幌に変更されたばかりだが、米国のオープン・ウォーター・スイミング(OWS)関係者からも、同様の措置を取ってほしいという声が上がっている。米AP通信が12月4日6日にそれぞれ報じた。

OWSは、海や川など屋外で長距離を泳ぐ競技だ。東京五輪ではお台場海浜公園で10キロのマラソン・スイミングが行われる。しかし米国の同競技関係者は、会場をお台場から富士山の麓にある湖に移してくれるよう、密かにロビー活動を行っているという。気温・水温の高さと水質の悪さへの不安からだ。

OWSの米五輪チームのキャサリン・ケイス監督はAP通信に対し、「マラソン選手が(競技中に)意識を失って倒れた場合、打撲やけがで済むかもしれない。しかしもしOWSでそんなことがあったら、命取りになりかねない」と述べた。

国際水泳連盟が定める水温の上限は31度だが、今年8月にお台場で行われたテスト大会では30.5度まで上がった日もあったという。ケイス監督によると、米国の選手たちは水温が29.45度を超えた場合、参加を見合わせるようにアドバイスされている。とはいえ、レースに出るか否かを判断するのは選手自身であり、五輪のような大きな大会であれば、「出場するプレッシャーを感じる可能性が高い」と同監督は説明する。

東京五輪出場が決まっているヘイリー・アンダーソン選手は、「毎年大きな大会があるNBA(バスケットボール)などとは違い、水泳は4年に1度しかない」と指摘。「五輪には出たい。でもどんな代償を払うのか」と不安をのぞかせる。

同選手は、8月のテスト大会に出場した際、4分の1もいかないところで棄権した。気温も水温も高かったため、泳ぎ続けるのは危険だと判断したためだ。

先日行われた全米オープンで、東京五輪の会場変更について意見を求められたアンダーソン選手は、「選手はレース場所を選べない」とフラストレーションを口にしつつ、「ただ、もっと安全なところがいい」と本音を打ち明けたという。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

円安、物価上昇通じて賃金に波及するリスクに警戒感=

ビジネス

ユーロ圏の銀行融資低迷、インフレ期待低下 利下げの

ビジネス

ドル一時急落、154円後半まで約2円 介入警戒の売

ワールド

中国主席「中米はパートナーであるべき」、米国務長官
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 5

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 6

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 7

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 8

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中