最新記事

北朝鮮

金正男暗殺は10名が関与、4人は国外へ 現地警察が初会見

2017年2月20日(月)06時30分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

マレー警察が発表した北朝鮮国籍の容疑者4人 左上から時計回りにリ・ジヒョン、ホン・ソンハク、リ・ジェナム、オ・ジョンギル マレーシア警察facebookより

<金正男が暗殺されてから1週間となるが、現地のマレーシア警察当局が19日初めて記者会見を開き、捜査状況などを説明した。一方、行方が知れない容疑者に関して既に平壌に帰国したという情報も出ている>

韓国メディア、イーデイリーなどによれば、マレーシア警察庁のノア・ラシド・イブラヒム副長官は、「金正男暗殺事件は、すでに逮捕されたリ・ジョンチョルのほか、北朝鮮国籍の男性容疑者が4人以上いる」とし、4人をリ・ジヒョン(32)、ホン・ソンハク(34)、オ・ジョンギル(55)、リ・ジェナム(57)と確認した。

また今回の事件の背景に北朝鮮政府が関わっているのではないかという質問に対しては、「これらの容疑者が北朝鮮国籍だという点だけを確認した。北朝鮮の外交旅券を持っている人はおらず、それ以上は現時点ではいうことができない」とした。

マレーシア警察当局は、逮捕したリ・ジョンチョルとほかの北朝鮮国籍の男4人のほかに、リ・クリア(別名ジェームズ)という男をはじめとする別の北朝鮮国籍者3人も事件に関わっていると見て行方を追っているという。

既に逮捕されている北朝鮮国籍の男リ・ジョンチョルについては、外国人労働者の身分証明書「i-Kad」を所持しており、IT業界の会社で働いていると記載されていることが分かっているが、この身分証明書が偽装されたものかどうかはまだ調査中だということだ。もし、この身分証明書がマレーシア政府の発効した正規のものであれば、北朝鮮の海外労働者は原則的に家族と離れていることを考えると、リ・ジョンチョルが妻と子供らと一緒に暮らしていたことは、特殊な立場にいたことを示唆する。

現地メディア、ニュースストレートタイムズは、警察当局の消息筋の話として、リ・ジョンチョルが北朝鮮の偵察総局所属の工作員で、今回の事件との関連を示す強力な証拠を手にしたと報道している。イブラヒム副庁長は、「リ・ジョンチョルについて、マレーシアでの交友関係、仕事先での業務内容などについて調査しており、金正男の殺害に使用された毒物がリ・ジョンチョルから提供されたものかどうかを調査している」と語っている。

また、現地の東方日報によれば、マレーシア警察当局の消息筋は「リ・ジョンチョルが他の逃走犯と合流するのを待っていたが、1日過ぎても他の容疑者が現れなかったため、リ・ジョンチョルの逮捕を決定した」と語った。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

為替に関する既存のコミットメントを再確認=G20で

ビジネス

米国株式市場=上昇、大型ハイテク株に買い戻し 利下

ワールド

米大統領とヨルダン国王が電話会談、ガザ停戦と人質解

ワールド

ウクライナ軍、ロシア占領下クリミアの航空基地にミサ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ暗殺未遂
特集:トランプ暗殺未遂
2024年7月30日号(7/23発売)

前アメリカ大統領をかすめた銃弾が11月の大統領選挙と次の世界秩序に与えた衝撃

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「習慣化の鬼」の朝日新聞記者が独学を続けられる理由【勉強法】
  • 2
    BTS・BLACKPINK不在でK-POPは冬の時代へ? アルバム販売が失速、株価半落の大手事務所も
  • 3
    【夏休み】お金を使わないのに、時間をつぶせる! 子どもの楽しい遊びアイデア5選
  • 4
    キャサリン妃の「目が泳ぐ」...ジル・バイデン大統領…
  • 5
    地球上の点で発生したCO2が、束になり成長して気象に…
  • 6
    トランプ再選で円高は進むか?
  • 7
    カマラ・ハリスがトランプにとって手ごわい敵である5…
  • 8
    もろ直撃...巨大クジラがボートに激突し、転覆させる…
  • 9
    日本人は「アップデート」されたのか?...ジョージア…
  • 10
    「轟く爆音」と立ち上る黒煙...ロシア大規模製油所に…
  • 1
    正式指名されたトランプでも...カメラが捉えた妻メラニアにキス「避けられる」瞬間 直前には手を取り合う姿も
  • 2
    すぐ消えると思ってた...「遊び」で子供にタトゥーを入れてしまった母親の後悔 「息子は毎晩お風呂で...」
  • 3
    月に置き去りにされた数千匹の最強生物「クマムシ」、今も生きている可能性
  • 4
    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…
  • 5
    【夏休み】お金を使わないのに、時間をつぶせる! 子…
  • 6
    「習慣化の鬼」の朝日新聞記者が独学を続けられる理…
  • 7
    ブータン国王一家のモンゴル休暇が「私服姿で珍しい…
  • 8
    「失った戦車は3000台超」ロシアの戦車枯渇、旧ソ連…
  • 9
    「宇宙で最もひどい場所」はここ
  • 10
    ウクライナ南部ヘルソン、「ロシア軍陣地」を襲った…
  • 1
    中国を捨てる富裕層が世界一で過去最多、3位はインド、意外な2位は?
  • 2
    ウクライナ南部ヘルソン、「ロシア軍陣地」を襲った猛烈な「森林火災」の炎...逃げ惑う兵士たちの映像
  • 3
    ウクライナ水上ドローン、ロシア国内の「黒海艦隊」基地に突撃...猛烈な「迎撃」受ける緊迫「海戦」映像
  • 4
    ブータン国王一家のモンゴル休暇が「私服姿で珍しい…
  • 5
    正式指名されたトランプでも...カメラが捉えた妻メラ…
  • 6
    韓国が「佐渡の金山」の世界遺産登録に騒がない訳
  • 7
    すぐ消えると思ってた...「遊び」で子供にタトゥーを…
  • 8
    月に置き去りにされた数千匹の最強生物「クマムシ」…
  • 9
    メーガン妃が「王妃」として描かれる...波紋を呼ぶ「…
  • 10
    「どちらが王妃?」...カミラ王妃の妹が「そっくり過…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中