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ジャーナリストへの情報提供者に忍び寄るベネズエラ諜報機関

2016年8月3日(水)18時00分
野田 香奈子

 彼らを結びつけるものは何か? これらすべては、ベネズエラの中央銀行本部で6月21日に起きた奇妙な事件に端を発している。一人の武装した男が中央銀行に軽々と入り込み、人質を取って、ニコラス・マドゥロと中央銀行総裁ネルソン・メレンテスと話すことを要求した事件だ。撃ち合いになった後、当局によって犯人は射殺され、2名の負傷者を出した。

 銃撃犯のフアン・ダビド・オリベロス・ガルシアという名前の27歳の男は、遺書のような動画を残していた。動画の中で彼は「国民のために、国民が苦しんでいる飢えのために」事件を起こしたと証言しており、精神異常者による犯行という主張を否定している。ビデオは公開され、SEBINはこのビデオがどのようにして公開に至ったのかを探り出すための聖戦に乗り出したというわけだ。


 解放された直後、カマチョはSEBINのエージェントからこのビデオについて聞かれたとツイートした。このSEBINの興味は、のちにトレスとロハスの尋問においても確認された

 さらに奇妙なのが、ダービソン・ロハスの携帯の押収だ。ロハスおよびロハスの弁護士であるマリノ・アルバラドによると、この捜査を担当している検察官エイケル・カンピオーネからと考えられる指示があり、SEBINのエージェントは携帯を取り上げたという。カンピオーネも司法省もともにこれを否定している。この直後、カンピオーネはこの事件から手を引かされ、カンピオーネの後任は時がくればロハスに携帯電話を返却することを約束した。私がこれを書いている時点では、まだ返却はされていないが。

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