最新記事

サイエンス

女性の胎内で育てる必要はなくなる? ロボットが胚から育てる人工子宮システムを中国が開発

2022年02月02日(水)17時30分
川和田周

ネットでも議論「少子化解消の最良の解決策」

中国は急激な出生率の低下に直面しており、2016年から5年間で新生児の数がほぼ半減している。国家統計局によると、昨年の人口純増数は過去60年間で最低だった。

その一方、中国の若い女性は中国の一人っ子政策やその他の国の奨励策が大幅に緩和されたにもかかわらず、結婚と子供優先な価値観をますます拒否するようになっていることを示す調査結果がある。

少子化は中国だけでなく、特に先進国社会にとっては深刻な問題だ。1月19日、スペースXのイーロン・マスクがSNSで「人口崩壊」に関する懸念を投稿すると、技術に詳しい人物が研究室で作られた子宮を最良の解決策として提案した。女性のキャリアを守り、出産に伴う苦痛、リスク、コストを軽減できるからだ。

中国のSNSにおいても、人工子宮や人口動態を逆転させるための最新技術の利用について議論が盛り上がっている。

孫氏らは論文で、この「AIナニー」は人間の目には見つけられない現象を検知し、そこから学習することができるため、「体外での長期胚培養技術の最適化と反復」が加速されると述べている。

ヒツジもサルもマウスも

人工子宮の技術は近年急速に発展している。特に早産児の成長をサポートする技術は進んでおり、2017年には米国フィラデルフィア小児病院の研究チームが、人工子宮システム「バイオバッグ」の中で早産のヒツジを正常に発育させることに成功した。

artificalwomb-thumb-720xauto-112243.jpeg

Fox News-Youtube 

胚の段階から人工的に育てる研究は、2019年、北京の動物学研究所の研究チームが、サルの受精卵を人工子宮の中で臓器形成段階まで持っていくことに成功。霊長類の胚が母親の体外でここまで発育が進んだのは初めてのことだった。

同年にはオランダの科学者たちが、未熟児を救うための人工子宮を10年以内に完成させるとBBCが報じている。

2021年3月にはイスラエルのワイツマン研究所のチームが、着床直前に妊娠中のマウスから抽出した胚を5〜11日生存(ネズミの妊娠期間は約20日)させた。胚は胎児の段階にまで成長し、後肢とそのすべての主要な器官を形成したという。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米最高裁、シカゴへの州兵派遣差し止め維持 政権の申

ビジネス

NY外為市場=ドル下落、GDP好調でもFRB利下げ

ワールド

米政権の「テックフォース」、約2.5万人が参加に関

ビジネス

カナダ中銀、次の一手「見通し困難」 不確実性高い=
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    女性の胎内で育てる必要はなくなる? ロボットが胚…

  • 3

    2つのドラマでも真実に迫れない、「キャンディ・モン…

  • 4

    エリザベス女王が「リリベット」に悲しみ、人生で最…

  • 5

    アジア系男性は「恋愛の序列の最下層」──リアルもオ…

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    女性の胎内で育てる必要はなくなる? ロボットが胚…

  • 3

    2100年に人間の姿はこうなる? 3Dイメージが公開

  • 4

    アジア系男性は「恋愛の序列の最下層」──リアルもオ…

  • 5

    女子サッカーで世界初、生理周期に合わせてトレーニ…

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    「恐ろしい」...キャサリン妃のウェディングドレスに…

  • 3

    女性の胎内で育てる必要はなくなる? ロボットが胚…

  • 4

    ハリウッド大注目の映画監督「HIKARI」とは? 「アイ…

  • 5

    2100年に人間の姿はこうなる? 3Dイメージが公開

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:ISSUES 2026

特集:ISSUES 2026

2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン