最新記事

カルチャー

最新作の主人公はプラスサイズのインフルエンサー! 『イン・ハー・シューズ』著者インタビュー

Everyone Deserves a Happy Ending

2020年05月29日(金)16時30分
ニューズウィーク日本版編集部

jacoblund-iStock

<ベストセラー作家J・ワイナーが最新作『ビッグサマー』で若い女性たちに伝えたいこと>

小説家ジェニファー・ワイナーは、「ビーチブックの女王」と言われる。重過ぎず、軽過ぎず、でも、ぐいぐい引き込まれる物語は、周囲の騒音をあっという間に忘れさせてくれるから、ビーチで読むのに最適、というわけだ。

映画化もされた『イン・ハー・シューズ』(邦訳・アーティストハウスパブリッシャーズ)など、ベストセラーを連発してきたワイナーの新作は『ビッグサマー』(未邦訳)。あるソーシャルメディアのインフルエンサーが、高校時代の友人の結婚式にしぶしぶ出席することになったことから巻き起こる物語だ。

ワイナーらしいテンポのいいストーリー展開で、独自の広い視点を通してプラスサイズの女性の物語を語っている。 本誌H・アラン・スコットがワイナーに話を聞いた。

――あなたの著書には、ボディー・ポジティビティー(自分のありのままの体形に誇りを持つこと)が描かれていることが多い。そういう物語が世の中に欠けていると思う?

デビュー作『グッド・イン・ベッド』を書いた当時は、太めの登場人物が物語の中心になる小説はなかったと思う。せいぜい主人公の愉快な親友といった位置付けで、何十キロも痩せたら突然いいことが舞い込んでくるというのが、お決まりの展開だった。

私はそれとは違うストーリーを描きたかった。いいことと悪いことの両方があるというふうにね。でも最近は、多様な登場人物が多様に描かれている小説が増えたと思う。

体形だけでなく、人種や民族、年齢もそうだ。映画やテレビもそうなってほしい。

nww-200529.jpg

「誰もがハッピーエンドに値する」と著者 ILLUSTRATION BY BRITT SPENCER

――高校を人格形成の重要な時期と描くことも多い。

高校時代は、大人としてよちよち歩きを始めたステージで、大人でも子供でもない奇妙な時期だ。物事をとてもデ ィープに感じて、自分のアイデンティティーや将来像が形成される時期でもある。

だから高校のときオタクだった人は、たとえ映画の主役を張るスターになっても、自分の中にオタクの部分を持ち続ける。セクシーなチアリーダーだったら、たとえ結婚して4人の子供ができても、かつてピラミッドの頂点にいた自分を持ち続けている。

――いろいろなタイプのパワフルな女性を描いているが、どこからインスピレーションを得ているのか。

自分が昔、そういう物語を読めたらよかったのにと思うストーリーを世に出したいと思っている。娘たちの成長をサポートしたいという気持ちもある。世の中にはいろいろな人がいて、それぞれに興味深い充実した人生を送っていることを伝えたい。誰もがそういう人生を送ることができるし、誰もがそのために挑戦する資格があるのだと。

――『ビッグサマー』の読者に期待することは?

こんな時期だからこそ、「楽しかった!」と思ってほしいし、読書に喜びを見いだしてもらえたらと思う。


20200602issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年6月2日号(5月25日発売)は「コロナ不況に勝つ 最新ミクロ経済学」特集。行動経済学、オークション、ゲーム理論、ダイナミック・プライシング......生活と資産を守る経済学。不況、品不足、雇用不安はこう乗り切れ。

[2020年6月 2日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米石油・ガス掘削リグ稼働数、22年1月以来の低水準

ワールド

アングル:コロナの次は熱波、比で再びオンライン授業

ワールド

アングル:五輪前に取り締まり強化、人であふれかえる

ビジネス

訂正-米金利先物、9月利下げ確率約78%に上昇 雇
今、あなたにオススメ

RANKING

  • 1

    元ファーストレディの「知っている人」発言...メーガ…

  • 2

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 3

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 4

    「女性と少女の代償が最も大きい」...ソフィー妃がウ…

  • 5

    メーガン妃が立ち上げたライフスタイルブランド「ア…

  • 1

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 2

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 3

    なぜ女性の「ボディヘア」はいまだタブーなのか?...…

  • 4

    「見せたら駄目」──なぜ女性の「バストトップ」を社…

  • 5

    「自由すぎる王族」レディ・アメリア・ウィンザーが「…

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 3

    エリザベス女王が「誰にも言えなかった」...メーガン…

  • 4

    キャサリン妃とメーガン妃の「本当の仲」はどうだっ…

  • 5

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:世界が愛した日本アニメ30

特集:世界が愛した日本アニメ30

2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている