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東京オリンピック

オリンピック博物館の東京五輪・日本展遅延 もう楽しめる状況にない?

2020年03月16日(月)20時30分
岩澤里美(スイス在住ジャーナリスト)

日本のスポーツ漫画を紹介

同館では、4月2日~11月1日まで、東京五輪に合わせて日本に焦点を当てた展示が予定されている。しかし、上記の措置のため、4月にスタートできなくなった。5月に再び開館して同展も始まるのかは、いまのところ、わからない。本展の内容は、以下のように盛りだくさんだ。

1つは、世界に誇る日本のスポーツ漫画を紹介する「スポーツ×漫画」。スポーツが漫画のスタイルにどんな影響を与えたか、またスポーツ漫画が日本社会にどんな影響をもたらしたかを「YAWARA!」「キャプテン翼」などの漫画を通して学べる。本展示の公式ポスターを、漫画家の浦沢直樹氏が担当した。

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浦沢直樹氏が制作したポスター(提供 オリンピック博物館)

東京五輪の公式アートポスターでは陸上選手1人を取り上げた浦沢氏(五輪ポスターへの思いは、こちらで語っている)は、本展ポスターでは水泳選手を含めた複数の選手と観客、そして五輪の旗を描いている。左下には、東京五輪のポスター同様、期待感を高める「つづく!」を書いている。同博物館のプレス資料によると、浦沢氏は、このポスターに日本のスポーツ漫画のエッセンスをすべて込めたという。

「Tokyo2020展」としては、新国立競技場のモデルも展示して、新競技、メダル、トーチなどを紹介する。屋外には、鳥居をイメージしたゲートが立てられる。東京五輪のエンブレムの組市松紋をあしらった布が付けられ、和の雰囲気が漂うことだろう。1964年の東京オリンピックを振り返る写真も展示する。

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© Studio Golem(提供 オリンピック博物館)

5月中旬、建築家の隈研吾氏が同博物館へ

展示のほかにイベントも用意されている。漫画を描く、剣玉にトライするといったワークショップ(紙芝居を自分で作る、お面を作る、俳句を作る、風呂敷の使い方を学ぶ、日本酒のテイスティングなど、4月予定のものは中止)、スタジオジブリの作品を鑑賞できるコーナーや漫画本、日本で人気のボードゲームを置いたコーナーの設置、在日のDJ・落語パフォーマー、シリル・コピーニ氏による落語といった催しがある。

トークショーも計画されている。5月は、新国立競技場の設計に携わった建築家の隈研吾氏によるトーク、6月は、五輪の短編アニメを制作したスタジオポノックの西村義明社長らのトークが決まっている。また、スポーツ漫画についてスペシャルゲストを招いたトークもある(ゲスト名は未公表)。

7月は、館内で東京五輪開会式をライブで見られるようにする。旅館をイメージした「日本のギャラリー」という空間も作り、床に座ってここでワークショップをしたり、壁に力士の画を展示するので、それらを楽しむこともできる。レストランでは、日本食がメニューに加わるという。 

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「ジャパニーズ・ギャラリー」のイメージ © Studio Golem(提供 オリンピック博物館)

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