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細胞を「生物学的資産」として管理する時代へ──iPS細胞治療の最前線

2026年3月31日(火)13時00分
細胞を「生物学的資産」として管理するこれからの「iPS細胞治療」の最前線

医療法人社団明日望理事長であり、東京アスボクリニック院長の内山明好(うちやま・あきよし)(右)と、ゲノム研究や予防医学の権威の村松正明・東京科学大学名誉教授(左)。予防再生医療が「夢」から「現実の選択肢」へと劇的な進化を遂げつつある今、自分自身の細胞を「生物学的資産」として管理する次世代の健康戦略の重要性を訴える。

2026年2月、日本の再生医療は大きな転換点を迎えた。大阪大学発のベンチャーが開発した、重症心不全治療のための心筋細胞シート「リハート」。そして住友ファーマが手掛けるパーキンソン病治療用細胞「アムシェプリ」。これらiPS細胞由来の治療が相次いで承認・実用化フェーズに入ったニュースは、iPS細胞が「未来の夢」ではなく、私たちの命を救う「現実の選択肢」になったことを告げている。言わば、「iPS治療元年」だ。

しかし、iPS細胞の真の価値は、発症後の「治療」だけにとどまらない。今、大きな期待を集めているのが、自分自身の細胞をあらかじめバックアップし、その力を活用して老化や病気を未然に防ぐ「予防再生医療」という考え方だ。

ゲノム医学の権威であり予防医学のフロントランナーである村松正明・東京科学大学名誉教授と、先進的な臨床現場で患者と向き合う東京アスボクリニックの内山明好院長。二人の対談から、私たちが手に入れるべき「次世代の健康管理」の姿を浮き彫りにする。

iPS細胞のポテンシャル なぜ今、細胞を預けるのか。

村松正明・東京科学大学名誉教授

村松正明・東京科学大学名誉教授

村松 クオリプスや住友ファーマの成果は、iPS細胞がいかに高い多能性を持っているかの証明です。しかし、ゲノム医学の視点から現状を直視すると、まだ課題は山積み。現在、世界には治療法が確立されていない希少遺伝性疾患が2000種類以上存在すると言われています。

内山 2000種類以上......。その多くが、有効な治療手段がなく、患者様やご家族が
不安の中にいらっしゃるのが現状ですね。

村松 はい。こうした疾患は一つひとつは稀ですが、全体で見れば決して少なくない人々が直面する問題です。そこでiPS細胞が期待されるのは、単なる「移植」だけではありません。患者自身の細胞からiPS細胞を作り、それを用いて病気の原因解明や薬の適合性を確かめる「創薬」の分野、そして自分自身の正常な細胞を温存しておく「バックアップ」としての役割です。

内山 だからこそ、私たちは「iPS細胞バンク」という、いわば「生物学的な資産運用」を提唱しています。従来の幹細胞(脂肪由来など)は特定の組織にしか分化できず、加齢とともにその能力も衰えます。しかし、iPS細胞は理論上、あらゆる臓器や組織に分化できる「多能性」を持つ。これこそが、将来の不確実なリスクに対する最強の備えになります。

iPS細胞の上清液には、創傷治癒・皮膚のターンオーバー/細胞保護・神経修復/線維化修復機能/心筋保護作用、などが期待されている。

iPS細胞の上清液には、創傷治癒・皮膚のターンオーバー/細胞保護・神経修復/線維化修復機能/心筋保護作用、などが期待されている。


iPS細胞は、皮膚や血液の細胞に特定の因子を導入し、受精卵に近い状態まで「初期化」した細胞だ。脂肪由来幹細胞などが「決まった組織にしかなれない」のに対し、iPS細胞は心筋、神経、肝臓、そして後に述べる褐色脂肪細胞など、あらゆる細胞に分化できる圧倒的なポテンシャルを持つ。この「万能性」を固定保存しておくことこそが、iPS細胞バンクの最大の意義となる。

内山 iPS細胞をただ保存するだけでなく、いかに日常のケア(予防)に活用するかが重要です。そこで私たちの大きな武器となるのが、アイロムグループ(IDファーマ)が持つ世界特許技術です。

村松 IDファーマの「センダイウイルスベクター」技術ですね。これは細胞の核(ゲノム)を傷つけずに初期化できるため、発がんリスクを抑えた安全なiPS細胞を作製できる、世界屈指の技術ですね。

内山 その通りです。さらに特筆すべきは、そのiPS細胞から「褐色脂肪細胞」と「樹状細胞」を安定的に分化・作製できる点です。現在、iPS細胞からこれらの細胞、および「上清液(培養液)」を作製できるのは、アイロムグループの強みです。

村松 褐色脂肪細胞は、加齢とともに減少する「燃焼型」の細胞で、代謝を劇的に上げ、肥満や糖尿病を防ぐカギとなります。一方の樹状細胞は「免疫の司令官」。がん細胞やウイルスを見つけ出し、攻撃命令を下す重要な役割を担っています。

褐色脂肪細胞の上清液には、抗炎症作用・抗老化作用/ミトコンドリアの機能の活性化/代謝機能改善、などが期待されている。

褐色脂肪細胞の上清液には、抗炎症作用・抗老化作用/ミトコンドリアの機能の活性化/代謝機能改善、などが期待されている。

内山 私たちのクリニックでは、この特許技術によって作られた自己由来の上清液を活用します。褐色脂肪細胞上清液は、代謝を細胞レベルで引き上げ、太りにくい体質と若々しい血管を維持するもの。衰えた免疫システムに活を入れ、がんや感染症に強い体を作ることが期待されています。「次世代のリバースエイジング」にするべく、臨床研究を進めている段階にあります。


iPS細胞から作られた特定細胞を増殖させる過程で、細胞の分泌する成分が溶け出した液体が「上清液」だ。成長因子やエクソソーム、サイトカインが凝縮されている。他社でも一般的なiPS細胞上清液の作製例はあるが、特定の「褐色脂肪細胞」や「樹状細胞」に特化して分化させ、その薬理効果を引き出せるのは、IDファーマの特許があればこそ。この技術の独占性が、信頼の根拠となっている。

自分の細胞という「資産」を、先端技術で管理する。

内山明好・東京アスボクリニック院長

内山明好・東京アスボクリニック院長

内山 私たちは、細胞を預かって終わりではありません。「アイセルバンク」を通じ、コンシェルジュや医師が一人ひとりに寄り添い、預かった細胞をいつ、どのようにメンテナンスに活用するかを提案します。


アイセルバンク(東京アスボクリニック提携)が提供するのは、単なる「細胞の冷凍保存」ではない。最先端のゲノム医学と再生医療技術を、一人の人間の生涯にわたる健康管理へと統合する仕組みだ。

村松 ゲノム医学が解明してきた「個別の体質」と、iPS技術という「解決策」。この両輪が揃って初めて、真の予防医療が完成します。自分の細胞を守ることは、自分の未来の可能性を守ることに他なりません。


アイセルバンクのサービスフローは明快だ。カウンセリングを経て、少量の血液を採取(対象年齢は臍帯血が利用できる0歳から)。それをIDファーマの高度な技術でiPS細胞化し、厳重に保管する。必要な時に、世界特許に基づいた高品質な上清液ケアを受けられる体制が整っている。

内山 当医院はNMT社をパートナーとしてアイセルバンクを広く世界に知らしめ、来たるべきiPS細胞による再生医療の発展に備えたいと考えております。

村松 自分の細胞を大切に保管し、最新のテクノロジーでその力を最適化する。それは自分自身への、そして大切な家族への、何よりの責任であり希望になるはずです。


かつては「病気は運」だと思われていた時代があった。しかし今、私たちは自分の細胞という「資産」を管理し、老化や病をコントロールする術を手に入れつつある。iPS細胞バンクという選択は、単なる医療の枠を超え、私たちがより自由で活力に満ちた「人生100年時代」を謳歌するための賢明な「自己投資」となるだろう。

●問い合わせ先/NMT(Noble MediTech)株式会社
https://www.nmtech.jp
icellbank@nmtech.jp
03-5843-0584


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