コラム

「10万円給付」は6月以降に? なぜこんなに手続きが遅いのか

2020年05月13日(水)12時05分

休業させた従業員の手当を補助する雇用調整助成金でも同じような事態が発生している。4月10日の時点では、463件の申請が行われているが、支給が決定したのはわずか3件だったとされる。似たような制度はドイツやフランスにもあるが、ドイツは3月末時点で既に47万社の申請が受理された。

欧州は労働関係の助成金が豊富で、日頃から多くの企業が支援制度を利用しているため、企業側が仕組みをよく理解している。役所もオンライン申請や書類の簡略化などを積極的に進めてきたこともあり、手続きがスムーズに進んでいる。一方、日本では労働法制が厳格に運用されておらず、各種支援制度も有効活用されているとは言い難い。雇用調整助成金の存在を知らなかった企業も多かったようだ。

制度の適切な運用には役所と企業、そして国民が制度に高い関心を持ち、日頃から地道な努力を積み重ねる必要があるが、残念ながら日本はこうした取り組みをおざなりにしてきた。結果として非常時にうまく制度が機能しないという状況に陥っている。

<本誌2020年5月19日号掲載>

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プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネスなどの分野で執筆活動を行うほか、テレビやラジオで解説者やコメンテーターを務める。『お金持ちの教科書』(CCCメディアハウス)、『スタグフレーション』(祥伝社新書)、『本気で考えよう! 自分、家族、そして日本の将来』 (幻冬舎新書)など著書多数。

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