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ワールドカップ「退屈」日記

南アで記憶に残った言葉たち

2010年07月11日(日)10時45分

 この国にいた1カ月の間、いろんな言葉を耳にした。今も忘れられないものの一部をノートから書き出してみる。


Soccer train, this way! Straight to Brazil!
(サッカートレインはこちら! ブラジル直通です!)

ヨハネスブルクのパーク駅の駅員。ブラジル-チリ戦が行われるエリスパークへの電車を案内して。


We buy Japanese cars too much. Why not buy something?
(私らは日本の車をさんざん買ってるんだから、何か買っていきなさいよ)

ヨハネスブルクのパブリックビューイング会場で土産物を売っていたおばさん。そう言われても欲しいものがなかったから、「日本に帰ったら南アフリカのワインを買いますから」と答えた。


Look out nicely, baby!
(しっかり探すのよ、ベイビー!)

ダーバンのホテルをチェックアウトする寸前に、僕が財布を見つからないと言っておろおろしていたら、ホテルのパワフルなおばさんが言った言葉。僕は盗まれたのではないかと一瞬疑ったのだが、トイレに置き忘れていただけだった。「ベイビー!」のひと言にノックアウトされた。


Guten morgen! Buenos dias!
(グーテン・モルゲン! ブエノス・ディアス!)

ケープタウンの土産物店の店員。ドイツ-アルゼンチン戦が行われる日の朝、店に入ってきた客にとりあえずドイツ語とスペイン語の両方で挨拶して。


That's a taxi driver's ultimate dream!
(そいつは、タクシー運転手の究極の夢だね!)

ダーバンのタクシー運転手、マイケル。「ワールドカップももうすぐ終わっちゃうな」と彼が言うので、僕が「最初は永遠に続くんじゃないかと思いましたけどね」と返したら、爆笑してこう言った。


We were a vegetable eating, healthy nation. But whites brought many bad things - meats, cigarettes, and drugs.
(ここはもともと、野菜が大好きでヘルシーな国だった。でも、白人が悪いものをたくさん持ち込んだ。肉にタバコ、それからドラッグ)

ソウェトに住むモテオ・ムプテ(僕のホストファミリー)。彼は漢方薬を売る仕事をしている。


Now South Africa is pretending to be one nation. The media has made them do so since three or four months ago. The question is what happens after the festival.
(いま南アフリカは、ひとつのまとまった国を演じている。3~4カ月前から、メディアがそう仕向けてきた。問題は祭りが終わった後だ)

ヨハネスブルク在住のジャーナリスト、ルンギレ・マディワベ。ショッピングモールのレストランでペンネ・アラビアータを突っつきながら。


Nothing, because I am a porter.
(別に。僕はポーターだもの)

ヨハネスブルクの5つ星ホテルのポーター。「ワールドカップはあなたに何をもたらしたか」という質問に。


*原稿にする前のつぶやきも、現地からtwitterで配信しています。

*南アフリカから帰国後の7月19日(月・祝)に、「ワールドカップ『退屈』日記・総集編」と題したトークイベントを開催します。詳細はこちら

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BLOGGER'S PROFILE

森田浩之

ジャーナリスト。NHK記者、Newsweek日本版副編集長を経て、フリーランスに。早稲田大学政経学部卒、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)メディア学修士。著書に『スポーツニュースは恐い』『メディアスポーツ解体』、訳書に『「ジャパン」はなぜ負けるのか─経済学が解明するサッカーの不条理』など。