最新記事
歴史動態

アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴エリートたちの報復が始まる

The Scholar Who Predicted America's Breakdown Says It's Just Beginning

2025年6月10日(火)18時59分
ジーザス・メサ
移民取り締まりに抗議するデモ隊と睨み合う州兵

移民取り締まりに抗議するデモ隊と睨み合う州兵(6月10日、ロサンゼルス) Maximilian Haupt/dpa via Reuters Connect

<2010年に「ネイチャー誌」で2020年以降アメリカの政治不安が急激に高まると予測した歴史動態学者ターチンは、トランプは問題の原因ではなく「症状」だと言う>

バラク・オバマ米大統領(当時)が1期目半ばだった15年前は、ソーシャルメディアが急速に広がり、世界金融危機から徐々に回復しつつある時期だった。当時、米コネチカット大学のある教授がこんな警告を発した――アメリカは今後10年間、政治的に不安定さを増す時期に突入するだろう。

当時はへそ曲がりの戯言に聞こえた。世界経済もアメリカの政治秩序も、冷戦後の楽観主義にしっかりと支えられているように思えた。保守派のポピュリスト運動「ティーパーティー」の台頭のように、わずかなひずみは見え始めていたが。


だが環境学者から歴史家に転身したピーター・ターチンには、自らの主張を裏づけるデータがあった。

ターチンは2010年、学術誌「ネイチャー」で「歴史の定量分析から複雑な人間社会が周期的に、しかも予測可能な形で政治的不安定性の波の影響を受けることが明らかになった」と述べ、2020年頃に政治的な不安定性が急激に高まるだろうと予測。その要因として経済的格差、「エリートの過剰生産」と政府債務の増大を挙げた。

newsweekjp20250610095653.png

2020年からアメリカの政治的不安定は加速した、と言うターチン Courtesy of Peter Turchin

編集部よりお知らせ
ニューズウィーク日本版「SDGsアワード2025」
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

日産、4━9月期は営業赤字1800億円見込む 通期

ビジネス

伊GDP、第2四半期は前期比-0.1% 予想外のマ

ビジネス

ユーロ圏GDP、第2四半期速報は前期比+0.1% 

ワールド

カムチャツカ沖で巨大地震、M8.8で1952年以来
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ関税15%の衝撃
特集:トランプ関税15%の衝撃
2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い」国はどこ?
  • 3
    一帯に轟く爆発音...空を横切り、ロシア重要施設に突っ込むウクライナ無人機の「正確無比」な攻撃シーン
  • 4
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 5
    M8.8の巨大地震、カムチャツカ沖で発生...1952年以来…
  • 6
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 7
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 8
    タイ・カンボジア国境紛争の根本原因...そもそもの発…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「出生率が高い国」はどこ?
  • 10
    グランドキャニオンを焼いた山火事...待望の大雨のあ…
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの習慣で脳が目覚める「セロ活」生活のすすめ
  • 3
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜つくられる
  • 4
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 5
    航空機パイロットはなぜ乗員乗客を道連れに「無理心…
  • 6
    中国が強行する「人類史上最大」ダム建設...生態系や…
  • 7
    中国企業が米水源地そばの土地を取得...飲料水と国家…
  • 8
    レタスの葉に「密集した無数の球体」が...「いつもの…
  • 9
    「様子がおかしい...」ホテルの窓から見える「不安す…
  • 10
    タイ・カンボジア国境で続く衝突、両国の「軍事力の…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 4
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 5
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 6
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 7
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 10
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中