最新記事
米大統領選

ハリス氏とトランプ氏の災害対応「大きな違い」とは?...ハリケーン直撃で注目

2024年10月9日(水)20時46分
撤去支援に入る陸軍兵士ら

10月8日、 ハリケーン「ヘリーン」が米南東部に大きな被害を及ぼしたことで、米大統領選を前に連邦政府の緊急対応体制に注目が集まっている。写真は同日、ノースカロライナ州マーシャルで、ヘリーンで被災した地域のがれきの撤去支援に入る陸軍兵士ら(2024年 ロイター/Eduardo Munoz)

ハリケーン「ヘリーン」が米南東部に大きな被害を及ぼしたことで、11月5日の米大統領選を前に連邦政府の緊急対応体制に注目が集まっている。

ノースカロライナ州やジョージア州など被災地の復興には何カ月も要する可能性があり、大統領選の民主党候補ハリス副大統領もしくは共和党候補トランプ前大統領が来年1月の就任後にその任務を受け継ぐことになるだろう。

米南部には現在、大型ハリケーン「ミルトン」も接近しており、異常気象が頻発する状況になっている。


 

バイデン政権下では、連邦緊急事態管理庁(FEMA)が災害に備えた耐性強化と災害支援プロセスの合理化に向けて大きな一歩を踏み出した。ハリス氏が勝利した場合、これらの政策は継続される可能性が高い。

トランプ前政権の災害救援に関する決定は物議を醸した。トランプ氏は、連邦政府の災害救援資金を国境警備など他の優先事項に振り向けようとした。2017年にハリケーン「マリア」で被災したプエルトリコの住民たちに向かって、ペーパータオルを放り投げて批判を浴びたのはよく知られている。

活動団体アンスロポシーン・アライアンスの戦略ディレクター、スティーブン・アイゼンマン氏は、米国の「エネルギー自給」を目指す共和党のスローガン「DRILL,BABY,DRILL(石油をどんどん掘れ)」を引き合いに、「(トランプ氏の)合言葉は『掘れ、掘れ、掘れ』であって『守れ、守れ、守れ』ではない」と語る。

「2つの(次期)政権(ハリス政権とトランプ政権)の政策には天と地ほどの違いがあるだろう」という。

不公平の是正

FEMAはバイデン大統領の下、災害救援の公平化に努めてきた。被災者に迅速な現金給付を行うため、煩雑な手続きを合理化したこともその1つだ。

全米洪水保険制度(NFIP)が、沿岸部に住む裕福な住宅所有者の保険料を事実上補助しているという批判を受け、バイデン政権下のFEMAは洪水保険料をより密接にリスクに連動させるよう、保険料の算出方法も大幅に変更した。

ただ、一部の保険契約者にとっては保険料の高騰につながる可能性があるとして、議員や消費者からは懸念の声も上がっている。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

午前の日経平均は続落、米雇用統計前の警戒ムード 一

ビジネス

経済同友会の代表幹事に山口・日本IBM社長、新浪氏

ワールド

台湾総統、財政関連法改正に反対 野党主導の議会と溝

ワールド

スイス、26年成長予想を1.1%に上方修正 米関税
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連疾患に挑む新アプローチ
  • 4
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 5
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 6
    アダルトコンテンツ制作の疑い...英女性がインドネシ…
  • 7
    「なぜ便器に?」62歳の女性が真夜中のトイレで見つ…
  • 8
    「職場での閲覧には注意」一糸まとわぬ姿で鼠蹊部(…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    現役・東大院生! 中国出身の芸人「いぜん」は、なぜ…
  • 1
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 2
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 5
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 6
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 9
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中