最新記事
日本政治

自民党総裁候補の高市氏「緩和は我慢して続けるべき、低金利を続けるべき」 追加利上げをけん制

2024年9月15日(日)14時09分
自民党総裁候補の高市氏が金融緩和継続を訴え

高市早苗経済安全保障担当相は14日、日本記者クラブ主催の自民総裁候補討論会で、「金融緩和は我慢して続けるべき、低金利を続けるべき」と主張し、日銀による追加利上げをけん制した。写真は9月14日、東京で撮影(2024年 代表撮影)

高市早苗経済安全保障担当相は14日、日本記者クラブ主催の自民総裁候補討論会で、「金融緩和は我慢して続けるべき、低金利を続けるべき」と主張し、日銀による追加利上げをけん制した。

足元の物価上昇はエネルギーや食料価格によるコストプッシュ型であり、「生産性、給料、購買力も上がる好循環を作りたい」と語った。


加藤勝信元官房長官も金融政策の正常化について「金利は動くものだが、足元の経済を見て慎重にやりたい」と述べた。

財政問題については、高市氏が「資産と債務を合わせてネットで見るとG7(主要7カ国)の中で2番目の健全性」との持論を展開する一方、河野太郎デジタル担当相は「遅かれ早かれ金利が徐々に上がっていく中で、利払いが増えていく」とした上で、財政収支の議論をすべきと訴えた。

また、米政府が安全保障上の懸念を強めている日本製鉄の米USスチール買収に関し、小泉進次郎元環境相は「日米が対立をするのではなく、日米がともに向き合うべき課題」と指摘。鉄鋼の過剰生産を続けた中国によるダンピング(不当廉売)に対して協調する必要があるとした。

茂木敏充幹事長は、米国の新大統領が決まったら就任前に会うとし、「今は選挙中なのでUSスチールの問題なども出ているが、相互投資をしていくのは良いことといった議論をしていきたい」と話した。

討論会は外交・安全保障問題にも及び、小泉氏は「(中国は)一党独裁から一人独裁になりつつある」と述べ、習近平国家主席とのトップ外交に意欲をみせた。また、北朝鮮による拉致問題について、父親の小泉純一郎元首相が故・金正日総書記と会談したことに触れつつ、「トップ(の金正恩氏)と同世代、前提条件を付けない新たな対話の機会を模索したい」と語った。

衆議院の解散・総選挙の時期について小泉氏が「できる限り早期に」と改めて表明したのに対し、石破茂元幹事長は「解散というのは衆議院議員がこの国からいなくなる。世界情勢がどうなるか分からないのに、すぐ解散するという言い方を私はしない」と話した。

小泉氏は出馬会見で掲げた解雇規制の緩和について「緩和でなく見直し」と説明し、労働市場の流動化が目的と説明した。

討論会には総裁選に立候補している小林鷹之前経済安保担当相、林芳正官房長官、上川陽子外相も参加した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2024トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 英語で学ぶ国際ニュース超入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年5月6日/13日号(4月30日発売)は「英語で学ぶ 国際ニュース超入門」特集。トランプ2.0/関税大戦争/ウクライナ和平/中国・台湾有事/北朝鮮/韓国新大統領……etc.

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ウクライナ南部オデーサに無人機攻撃、2人死亡・15

ビジネス

見通し実現なら利上げ、不確実性高く2%実現の確度で

ワールド

米下院、カリフォルニア州の環境規制承認取り消し法案

ワールド

韓国大統領代行が辞任、大統領選出馬の見通し
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 10
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中