最新記事

アフリカ

スーダン新停戦合意も失敗 物資不足深刻化、難民数千人が隣国に

2023年4月20日(木)08時51分
戦闘による黒煙が立ち込めるスーダン首都ハルツーム

アフリカ北東部スーダンで15日に始まった正規軍と民兵組織「即応支援部隊(RSF)」との戦闘は19日も続き、スーダン保健省は世界保健機関(WHO)の情報として、これまでに少なくとも270人が死亡、2600人が負傷したと発表した。写真は4月18日、戦闘による黒煙が立ち込める首都ハルツーム(2023年 ロイター/screen grab obtained from a social media video. Twitter @ayman_amin_/via REUTERS)

アフリカ北東部スーダンで15日に始まった正規軍と民兵組織「即応支援部隊(RSF)」との軍事衝突は、19日に予定していた新たな停戦合意も失敗に終わり、住民は停電や断水、食料などの物資不足や医療崩壊に脅かされている。

現地時間午後6時(日本時間20日午前3時)から24時間の停戦が実施されるはずだったが、首都ハルツーム市内の別々の場所にいる目撃者2人によると、戦闘は続いている。

空には濃い煙が立ち込め、ハルツーム市内に人々の姿はほとんど見られない。

これに先立ち、軍は声明で「停戦は人道的な要望に応じる活動を円滑に進めるため、翌日午後6時まで継続される。相手側が停戦を尊重することが条件となる」としていた。RSFも再び停戦を実施する準備ができたと表明していた。

双方は米国などの要請に基づき18日夕からも24時間の停戦を実施すると表明したが、停戦発効直後からハルツームで激しい銃声が響くなど、合意は守られなかった。

19日もハルツーム中心部では軍司令部周辺や空港で激しい戦闘が継続。ロイターの目撃者によると、ハルツーム南部でも銃声が響き渡っている。テレビ局アルアラビヤは、同国北部の重要な軍事空港を軍が奪還したようだと伝えた。

スーダン保健省は世界保健機関(WHO)の情報として、これまでに少なくとも270人が死亡、2600人が負傷したと発表した。

米ホワイトハウスは、多くの犠牲者が出ているスーダンでの暴力を非難し、現地に駐留する全ての米軍兵士の安否を確認したと発表した。

スーダンはエジプト、サウジアラビア、エチオピアのほか、サハラ砂漠の南側に広がるサヘル地域の間の戦略的な地域に位置しており、今回の紛争に近隣国が巻き込まれるリスクがあるほか、この地域での影響力を巡る米ロの競争に発展する可能性も指摘されている。

一方、スーダンと国境を接する隣国チャドには多くの難民が流出している。チャド国防相は「何千人もの難民が保護を求めるために国境を越えている。われわれは彼らを受け入れ、保護する以外に選択肢はない」と述べた。

また、17日にチャド領に侵入した320人のスーダン兵を武装解除したことも明らかにし、紛争への関与は望んでいないとした。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2023トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【20%オフ】GOHHME 電気毛布 掛け敷き兼用【アマゾン タイムセール】

(※画像をクリックしてアマゾンで詳細を見る)

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

アングル:熱波から命を守る「最高酷暑責任者」、世界

ワールド

アングル:ロシア人数万人がトルコ脱出、背景に政策見

ビジネス

鈴木財務相「財政圧迫する可能性」、市場動向注視と日

ワールド

UCLAの親パレスチナ派襲撃事件で初の逮捕者、18
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:スマホ・アプリ健康術
特集:スマホ・アプリ健康術
2024年5月28日号(5/21発売)

健康長寿のカギはスマホとスマートウォッチにあり。アプリで食事・運動・体調を管理する方法

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発」で吹き飛ばされる...ウクライナが動画を公開

  • 2

    「なぜ彼と結婚したか分かるでしょ?」...メーガン妃がのろけた「結婚の決め手」とは

  • 3

    アウディーイウカ近郊の「地雷原」に突っ込んだロシア装甲車2台...同時に地雷を踏んだ瞬間をウクライナが公開

  • 4

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 5

    なぜ? 大胆なマタニティルックを次々披露するヘイリ…

  • 6

    黒海沿岸、ロシアの大規模製油所から「火柱と黒煙」.…

  • 7

    批判浴びる「女子バスケ界の新星」を激励...ケイトリ…

  • 8

    これ以上の「動員」は無理か...プーチン大統領、「現…

  • 9

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 10

    戦うウクライナという盾がなくなれば第三次大戦は目…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    娘が「バイクで連れ去られる」動画を見て、父親は気を失った...家族が語ったハマスによる「拉致」被害

  • 3

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の「ロイヤル大変貌」が話題に

  • 4

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 5

    ウクライナ悲願のF16がロシアの最新鋭機Su57と対決す…

  • 6

    戦うウクライナという盾がなくなれば第三次大戦は目…

  • 7

    黒海沿岸、ロシアの大規模製油所から「火柱と黒煙」.…

  • 8

    能登群発地震、発生トリガーは大雪? 米MITが解析結…

  • 9

    「天国にいちばん近い島」の暗黒史──なぜニューカレ…

  • 10

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 6

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中